SM美容術に大きな影響を与えた緊縛師・雪村春樹。昭和SM三大縄神様の一人です。
『遊び』は英語にすると「Play(プレイ)」。
「Play(プレイ)」は日本語にすると、「遊び」「芝居」「試合」。
SMを楽しむっていうのは、まさにこの「Play(プレイ)」を意味していて、「芝居」をしながら二人で「遊び」、ある種の真剣勝負試合みたいなのを楽しみます。
しばしば紹介している、日本の緊縛の三大縄神様、「濡木痴夢男」「明智伝鬼」「雪村春樹」の中でも、特にこのSMの「遊び」の側面を強調し、そのスタイルを確立したのが「雪村春樹」です。
雪村春樹は、自らの緊縛をしばしば『縄遊戯』といったキャッチで表現していました。
縄を介してパートナーと心を連結し、二人してイメージ空間の中で思いきり「遊ぶ」・・
プレイが終わった後には「あ〜、なんか、すっごっく楽しかった!また、遊ぼうね!!」 といった充足感が得られる縄遊び。
そういう緊縛をめざしたのが雪村春樹。
「縄奉仕」「愛撫縄」「なんぎな縄」などとも自らの縄の特徴を言い表し、徹底して受け手から「情愛」と「羞恥」を引き出す縄を極めた緊縛師です。
もともとアダルトビデオの監督をしていた雪村春樹。
女優さんの官能美を引き出すための緊縛の威力を十分に知っていましたが、
「監督」「縛り係」「男優」と分業体制で製作していたのでは、どうしても女優さんの気分が途切れてしまうと、
「監督」「縛り係」「男優」を全て自分でおこなうスタイルに変更。
始めてお手合わせする女優さんを、いかに縄の力で短時間のうちに、深い官能世界に引きこむかで、技術を磨いてこられました。
そして、完成させたがの、「雪村流」と呼ばれるスタイル。
もともとプロの方ですから、二人のための緊縛ではなく、AV作品を買ってくれるお客様のための緊縛。
ただし、AVという特性から、舞台での緊縛パフォーマンスと比べると、アマチュアが楽しむ、二人のための緊縛に取り込みやすいスタイルです。
一本の縄を介して、いかに手早くパートナーとの心の連結を確立するか・・・
そして、二人でいかに大きくイメージ空間を広げていき、深いところで縄遊びをするか・・・
そういった奥深い縄の技術を教えてくれたのが雪村春樹の縄世界です。
サロンさんも生前何回かお話しする機会があり、多くのヒントを得させていただきました。
もう遺された作品を通じてしか、その奥義を学ぶことはできなくなってしまいましたが、
一歩でも、その神業に近づけるように精進を続けたいと思います。
安らかにお休みください。
イメージ空間を膨らますには、外界からの刺激の量を絞ることが大切です。不足した情報は、脳ミソがいくらでも補完してくれるからです。受け手に「あそび」、すなわち脳ミソによるイメージ補完の機会を与えることで、いくらでもイメージ空間は広くすることができます。つまり「強く拘束」したいなら、「弱く縛る」ことが肝要です。
雪村春樹、晩年の頃の作品製作風景。モデルは白石みお。初対面のモデルさんの心と、いかに素早く連結するかの技を見ることができます。ふたりの臨場空間が少しでも形成されれば、あとはそれを広げていくだけ。真剣勝負が始まります。
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