五感の中でも「触覚」は、体中に張り巡らされた神経からシグナルを受け取ります。つまり、体中全てから、パートナーを感じることができるわけです。
暗いところでスマホを使うと、ちゃんと使用環境に合わせて画面が暗くなります。最近は明るさだけでなく、色温度も、目が疲れないように調整してくれたりするのもあります。スマホが持つ、光センサーや、タイマーが、いろいろ知らぬ間に気を使って判断してくれてるんです。
多分スマホで最も重宝するのが、GPSセンサー。自分がどこにいるのかをかなり正確に判断してくれます。写真の撮影場所を記録してくれたり、ポケモンGOの中核となったりするセンサーです。
GPSで自分の位置を把握するだけでなく、加速度センサーやジャイロスコープの情報も統合して、われわれが、どこにいて、どうしようとしているのかをタイムリーにスマホはセンシングしてるんです。
さらに、地磁気センサーや近接センサー、さらには圧力センサーなど、あの小さな箱の中に、実にたくさんのセンサーが組み込まれています。すごいです。現代のスマホ。
スマホの中に組み込まれているジャイロセンサーの一部の拡大図。シリコンで物理的な動きを感知して、電気信号に変換するんですって。
スマホが賢いのは、これらのセンサーからの情報を独立に使うのではなく、それらを統合して、複雑な状況判断をしているところ。
「さすが、コンピューターは凄いな〜」
と思っちゃいますが、いえいえ、われわれ生物の情報処理は、遥か上を行っています。
われわれが外界をセンスする能力は、いわゆる「五感」で著されるように、「視覚」「聴覚」「臭覚」「味覚」「触覚」です。「見る」「聴く」「臭う」「味わう」「感じる」ですね。
これら五感も、スマホのセンサーと同じく、それぞれ単独で用いられる訳では無く、統合して用いられます。
つまり、貴女の前に素敵な男性がいるとすると、貴女は彼を「視覚」で見るだけでなく、彼の微かな呼吸を「聴覚」で聴き、彼の体臭を「臭覚」で捉え、これらを統合して彼を感じます。もっと言うと、過去の記憶や、いろいろな想いも複合化して、その結果として、貴女にとっての実在としての彼を認識します。
「視覚」は目で、「聴覚」は耳で、「臭覚」は鼻で、「味覚」は舌で感じます。
「触覚」は?
指先ですか?
ええ、指先には感覚神経がもの凄い密度で存在しており、点字の読める人は指先でいろいろな字を識別しちゃいますし、工芸職人の方も、指先でミリメートル以下の変化を感じ取ることができます。
でも、「触覚」は指先だけでないですよね。
手の甲でも感じますし、手首でも感じるし、二の腕でも感じます。
肩でも感じるし、背中も感じるし、太腿も感じるし、唇も感じる。
耳たぶも感じるし、髪の毛すら感じるし、足の裏も感じます。
で、もちろん、乳首も感じるし、クリトリスも感じるし、お尻の穴でも感じてしまいます。
このように、 「五感」の中でも、センサーが体の全体に漏れなく張り巡らされているのが「触覚」の特徴。基本的には、感知された信号は全て脳で処理されます。
神経の分類はいろいろややこしいのですが、「触覚」に関係する神経は、末梢神経系>体性神経系>「知覚神経」といくクラスです。
「知覚神経」という機能分類に属する神経は1種類かというと、これがまたややこしく、かなりたくさんあるんです。
皮膚の下には、いろいろなセンシングを担う、複数の神経が配置されているんですよ。
皮膚の下にある神経センサーの模式図。左上からマイスナー小体、パチニ小体、ルフィニ終末、メルケル触盤、そして自由神経終末。
主なものを上げると、低周波を感じるマイスナー小体。
皮膚への圧力を感じるメルケル触盤。
マイスナー小体よりはやや高い周波数の振動を感じるパチニ小体。
皮膚の引っ張りなどを感じるルフィニ終末。
これらは、それぞれの刺激をうまく拾えるように、センサー部分が特殊な構造をしているんです。
これら特殊な神経末端構造をもつ感覚神経に加えて、見た目が変わり映えしない、多数の自由神経終末と呼ばれる感覚神経がたくさんありますが、これらは、見た目には同じなのですが、目に見えないレベルでの違いをもち、温度を感じたり、痛さを感じたり、いろいろ異なる機能を担当しているようです。温度を感じるだけでも、感じる温度帯によって、担当する感覚神経が違うらしいです。
実は、このような皮膚の感覚だけでなく、体の深部にも、自立神経系の、意識レベルには上がってこないセンサーがはりめぐらされています。これらも内臓の状態を感知する目的で、それぞれその機能にあわせて特殊化されています。
結局、目や耳、舌、鼻、もそれぞれの感じる刺激に合わせた神経が進化して特殊な末端構造をもち、それが「触覚」のように体全体に散らばっているのではなく、目や耳といった器官に集中しているだけ、と考えればよいのかもしれません。
そして、これらのたくさんの感覚神経からの情報は、スマホと同じく、視覚や他の感覚も含めて、頭の統合して、貴女がどのような場所に、どのような状態で存在しているかを感じ取っているんです。
『8,000本の枝のもたらす至幸』ってコラムを今一度お読み下さい。
貴女のクリトリスには超高密度に感覚神経が集まっています。
指先には1センチ平方メートル当たり、マイスナー小体が1,500個、メルケル触盤が750個、パチニ小体が75個、ルフィニ終末が75個、さらにもっとたくさんの自由神経終末が存在し、体の中では一番密度が高いそうです。そして、複雑な微妙な「触覚」を超高感度に感じることができます。
クリトリス(陰核亀頭)は、指先のようにいろいろな神経末端が配置されている訳ではないようですが(文献によって、パチニ小体、ルフィニ終末が多いとなっていたり、クラウゼ小体が多いとなっていたりで、よく分かりません)、密度的には相当なもの。鋭敏な触覚を持っているのは間違いありません。
なので、クリトリスを弄って、オルガズムに達するクリ逝きが、最も一般的な女性の逝き方であるのは納得できます。
でも、「触覚」神経は、体中全てに張り巡らされていることを思い出して下さい。
クリトリスだけでなく、乳首も感じるし、耳たぶも感じるし、背中も感じるし、太腿も感じるし、足の甲も感じるし、体のありとあらゆるところで、気持ちいいのメッセージを受け取ることができるのです。
面白いのが、同じ背中を触られるにしても、好きな人に触られると、幸せでエッチな気分になるのに、知らない人に触られると、気持ち悪くて、不愉快な気持ちになりますよね。
そう、何度も繰り返しますが、「感覚」ってのは、単に刺激シグナルを受けているだけでなく、頭の中で、高度で複雑な処理をしているのです。背中に触れる他人の手の物理的刺激が、即座にその人との関係性の中で、どういった意味合いをもつのかが判断され、知覚として心と体が反応します。その時には、背中の皮膚にある神経からのシグナルに加えて、視覚、聴覚、臭覚、過去の記憶の全てが総動員されて、複雑な処理がされているのです。
こういう感覚処理を通して、貴女は彼という存在を感じているのですね。「存在」するってのは、このように複数の感覚信号を頭の中で統合することによって初めて知ることができるんです。絶対的に存在しているのもを、人は直接に感じることができないというのがポイント。感覚処理を通じてしか、存在を認めることができない、というところが大切なのです。
「複雑な処理」って書いてますが、ようするに、どんな処理が体の中でおこなわれているか、よく分からないということ。とにかく複雑なんです。
例えば、ある音を聞く、ということを考えても、単に耳からの聴覚刺激だけで聞いているのではなく、皮膚が感じる微かな空気の振動みたいなのも取り込んで、判断されたりもするらしいです。
この「感覚」の複雑さ、面白さは、実は『SM美容術入門』『メスマー美容術入門』『ジスイズ・オルガズム美容術』といった、SM美容の根幹に関わる重要なテーマですので、繰り返し説明していきたいと思います。
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『ジスイズ・オルガズム美容術』