「ポルチオ性感」ってネーミングは誰がどこで使い出したんでしょう?とてもよい響きを持ちますが、日本でしか通用しない和製外語です。「ポルチオ性感」と性感スポットの関係を考えていきましょう。

 

 

 

A, T, G, C・・といろいろあります」のコラムで書きましたように、女性の性感スポットは、場所もいろいろあり、ネーミングもいろいろなので、何が何だかわからなくなってしいまいます。大きく2つにわけると

(1)カラダの表面に近いスポット:特に覚えておきたいのは「Gスポット」「PSスポット」です。

(2)カラダの奥底にあるスポット:「Aスポットヴァニラスポット)」「PFスポット」です。

カラダの表面に近いスポットは、体表に出ているクリトリス(クリトリスの「頭」)も含めて、大きく「パン・クリトリスシステム」としてまとめて考えるとよいのかもしれません。

では、(2)のカラダの奥底にあるスポット、Aスポットヴァニラスポット)」と「PFスポット」はどうなのでしょう?これらのスポットはクリトリスからは随分と離れたところに位置していますので、パン・クリトリスシステム」に入れるには躊躇してしまいます。

Aスポットヴァニラスポット)」の位置をもう一度確認しましょう。膣の上側の壁伝いに、ずっと奥の方まで指を挿入し、突き当たりの少し窪んだところが、Aスポットヴァニラスポット)」となります。その直下には、丸い突起物が指に触ると思いますが、これは「子宮口」です。子宮の細長い出口が、膣の中に突き刺さっている部分です。膣内に射精された精子は、この子宮口から中に入っていくわけです。

「Aスポット」の「A」は、「ANTERIOR FORNIX」から由来しています。ANTERIOR=前頭部、FORNIX=円蓋を意味します。「円蓋」というのは「ドーム」型のことを意味し、膣の奥が「ドーム型」になっているので、そう呼びます。実際には、ここにやはりドーム型の「子宮口」が逆方向に突き刺さっているので、2つのドームが交わったような構造になっています。ちょうど、このドーム球場の天井のような感じです。

 

で、「ANTERIOR FORNIX(全部円蓋)」は、この膣の奥の子宮口の回りの上側です。

「PFスポット」の「PF」は、POSTERIOR=後背部、FORNIX=円蓋のことで、ようるすに、「Aスポット」の180度反対側、すなわち、膣壁の下側を伝って進んだ突き当たりです。「子宮口」付近の後ろ側です。

Aスポットヴァニラスポット)」も「PFスポット」も子宮口の近くに存在する性感スポットです。

「子宮口」となると、気になるのが「ポルチオスポット」と「ウテルナセックス」。「ウテルナセックス」は、ちょっとおいておくことにして、今回はポルチオスポット」について勉強してみましょう。

 

ポルチオ」って言葉は既に聞いたことがありますか?「ポルチオ性感」「ポルチオ開発」「ポルチオエステ」などなど、いろいろなところで使われています。

「ポルチオ」ってのは、「フェラチオ」や「イラマチオ」のようにラテン語系の単語で、「子宮」でも意味するかな、なんて想像してしまいますが、実は全然違うのです。

「ポルチオ」はPortio vaginalis uteri(ポルチオ・ヴァギナリス・ユーテリ」から由来しています。英語では「Vaginal portion of cervix」で、「子宮で、膣の中に入っている部分」、すなわち、上で説明した、膣の奥に突出している子宮口のあたりを意味する医学用語から由来しています。

で、「Portio(ポルチオ)」というのは、英語なら「Portion(ポーション)」のことで、ようするに日本語にすると「部」「部分」のことなのです。なので、日本語に訳すると「部開発」「部性感」となってしまい、何のことやらわかりません。医学用語には「Portio ナンチャラ」というネーミングが、体のあちこちにつけられているので、「Portio」だけでは、どこの「部分」なのかは分からないです。

でも、日本人にとっては、「ポルチオ」ってのは、響き的にはいいですよね。

面白いのが、ネットを調べていると、「教えてGOO」の質問コーナーでの「ポルチオ性感って何ですか?」の答えの1つに、

  ロシアでつくれれたSEXでしょうか。

  ボルシチオという料理があるほどですから。

  寒い国では常識的な性技なのだと思います。

なんてのがありました(笑)。

確かにロシア語にも聞こえますよね。

おそらく日本で使われ出したネーミングだと思いますが、誰がいつ頃から「ポルチオ」という言葉を使い出したのか、とても興味があります。

サロンさん自身は、ベイビーエンターテイメントというAVメーカーの「ポルチオエステサロン」で、最初に「ポルチオ」という言葉を知りました。このAVメーカーは2004年に「DANGER ECSTACY DRUG ポルチオ」「超絶淫技ポルチオトランス1」を発表していますので、少なくとも2004年頃には、「ポルチオ」という単語をタイトルに入れることで、感度のよい視聴者は「お、これこれ」と思わず買ってしまうような状況になっていたのでしょう。(このAV作品の副題がなかなかよくて、「この撮影の直後、彼女は引退を決意し、業界から姿を消した」「この撮影において彼女のカラダは完全に改造され、これから一生、感度が上がったままなのである」と、「ポルチオ性感」の強烈さと、神秘性をあおっています)。

なので、2004年にはすでに「ポルチオ」という略号がある程度広まっていたはずですが、そこからどこまで遡れるかはよく分かりません。少なくとも、2000年1月に書かれた記事に「ポルチオ・オーガズムって何???」てのがありますので、おそらく前世紀の末から使われていたのでしょうね。

話が脱線しました。

で、この「ポルチオ性感」、あちこちに「ポルチオ開発」の仕方が書いてあります。「ペニスでガンガン膣奥を突く」といった、あまり役に立たない情報から、「指先で子宮口を刺激する」などまでいろいろです。ちなみに下の図、セックス最中の子宮とペニスの位置を調べたMRIの画像データなのですが、どこがペニスでどこが子宮口部分か分かりますか?左が女性で右が男性です。確かにオチンチンの先がポルチオ部分に当たっているように見えます。

「ポルチオ性感」の解説の中には、「Aスポットヴァニラスポット)での性感と同義」とする考えも散見します。サロンさんは、このAスポットヴァニラスポット)」=「ポルチオスポット」説に一票を投じますね。

「ペニスでガンガン膣奥を突く」てのも、ようするに、ペニスでAスポットヴァニラスポット)」、あるいはPFスポット」という膣の奥深いところを刺激している訳ですし、「指先で子宮口を刺激する」というのも、「子宮口」そのものよりは、その回りの「円蓋部」で快感を感じていると思います。

まあ、とにかく膣の深いところには、「体の芯から全身を突き抜けるような強烈な快感」を感じるスポットが存在するのは明らかです。

でも、何がどう、この強烈な快感を感じているのでしょうか?

冒頭の(1)カラダの表面に近いスポットの場合には、なんとなく、いくつかのスポットが、8,000本の枝のもたらす至幸で紹介したように、感覚神経が集まっているクリトリスを通じて快感を感じているんだ、と考えると、なんとなくそうかな、と思います。

でも、(2)のカラダの奥底にあるスポットはどうなっているのでしょう?子宮が感じるの?膀胱?腹膜?

そもそも、繰り返して述べてますように、「あ、いいこと知った。○×スポットはここね。OK、OK」と、その性感スポットだけをグイグイを押していても何も起こりません。Aスポットヴァニラスポット)」やPFスポット」は、婦人科での触診のポイントと完全に一致しています。いちいち触診されてエクスタシーを感じていたら大変なことで、実際には、いきなりこれらのポイントを触られても何も起こりません。

不思議ですよね。Aスポットヴァニラスポット)」やPFスポット」、さらには「Gスポット」や他のスポットは、そこを刺激することが重要であることは間違いないのですが、「一定の手順で」刺激していくのが重要ということなのでしょうね。「一定の手順で」刺激していくとオーガズムに達する訳です。そして、Aスポットヴァニラスポット)」までを含む手順で刺激した時に得られるオーガズムは、かなり質的に「深い」ものなのです。

そうすると、Aスポットヴァニラスポット)」も「ポルチオスポット」も、「場所」というよりは、オーガズムの「レベル」や「状態」と考えた方が分かりやすいですよね。

次回は、女性の「逝く」=「オーガズムに達する」という現象について、今回の話を踏まえた上で、掘り下げてみたいと思います。

 

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『ジスイズ・オルガズム美容術』