Gスポ2017

延々続く「Gスポット大戦」に終わりはありません。

 

 

 

 

一般の人には当たり前の存在の「Gスポット」ですが、エライ先生の間では、あるのかないのか、延々と論争が続いており、この先、結着も着きそうにありません。

Gスポット」に関しては、既に『クリションマンの野望:序章』『クリションマンの故郷』『暴れん坊クリションマン』『クリションマンの正体』の四部作、さらに『Gスポット大戦』『A, T, G, C・・といろいろあります』などでひつこく紹介していますので、今さら補足する情報もないのですが、毎度おなじみのジャーナル・オブ・セクシュアル・メディシンに、

Hoag, N., Keast, J.R. & O'Connell, H.E. The "G-Spot" Is Not a Structure Evident on Macroscopic Anatomic Dissection of the Vaginal Wall. J Sex Med 14, 1524-1532 (2017).

(「Gスポット」は膣壁のマクロな解剖からは見つかりません)

といった論文が出てましたので、ちょっと紹介しておきましょう。

 

一応始めて読む人のために整理を。

オマンコの上の方の、入り口の少し奥の方を指で刺激すると、オマンコの壁が500円玉ぐらいの大きさで、プクッと膨らみ、下に向かって突起してきます。

この領域は性感スポットの1つであるようで、気持ち良いと感じる女性や、潮吹きにつながる女性も多いです。

ただし、そういう女性もいますということで、「全ての女性が膨らむ訳ではありません」し「全ての女性が感じる訳ではありません」し、「全ての女性が潮吹きにつながる訳でもありません」。ここらへんを刺激しても、全然膨らまない人も多いですし、うんともすんとも感じない人もいますし、潮吹きも吹く人は、どこの刺激でも吹きます。

この「オマンコの上の方の、入り口の少し奥の方」が「Gスポット」と呼ばれます。

1980年代から世界的にそう呼ばれ出し、一般大衆向けのセックス指南書などを中心に世界的に広まります。

 

 

実践的には役に立つガイドなのですが、じゃあ、実際「Gスポット」に相当する器官とか組織とか、どんなんでしょう?と調べて見ると、見つからないんです。というか、オマンコの他の部分と比べて、「はい、ここからここまでがGスポットね」という定義ができないんです。

「いやそんことない、あります」という「Gスポット信者」と、アホぬかせという「無G論者」の熱いバトルが続いております。

今回の論文は、「無G論者」のヘレン・オコネル医師の研究。

ヘレン・オコネル医師はまた、「クリトリス開放同盟戦士」みたいな感じで、パンクリトリスの地位向上のための啓蒙活動にも活発な人のようです。

おそらくいわゆるフェミニスト活動家ではないかと思いますが、男性中心に構築されてきた性の文化の歪みをただそうとしている人達のひとりでしょう(『クリションマンの正体』『Cの文化史』『女性の性欲』などもお読みください)。

  

 
ヘレン・オコネル医師。

で、今回の研究の内容(文献1)はというと、「慎重に解剖したけど、やっぱり解剖学的にはGスポットなんて見つかりませんわ」といった内容です。

前提として、『Gスポット大戦』でも紹介したアメリカの美容整形外科医であるオスレンツキーの「Gスポット大発見」のショボイ論文があります(文献2, 3)。

このオスレンツキー医師の論文は、まあ、よくもこんなお粗末な内容で論文を掲載したな、というものですが、載ってしまえば既成事実ですので、反論するにはそれ相当のデータを用意しなければなりません。

今回のヘレン・オコネル医師の研究では、32歳から97歳までの13人の女性のオマンコを、慎重・丁寧に解剖してみたが、やっぱり何も見つかりませんというものです。数を13検体と比較的多く解剖したことと、ホルマリン固定した献体のみならず、亡くなってすぐの固定していない状態のオマンコも解剖してみたという点を強調しています。

 

 

文献(1)より。

Gスポット」があるとされる、膣前壁の浅い所と、その裏に位置する膀胱との間をくまなくしらべたけど、海綿体みたいな膨らみそうな組織もないし、血管も側面には豊富だけど、「Gスポット」相当部位にはない、つまり「何にもありませ〜ん」という結論です。

 

このヘレン・オコネル医師、戦うクリトリス戦士ですので、どうもなんでもパンクリトリスにつなげたい様子。

また「中逝き」ってのが嫌いみたいで、男性中心の考え方と思っているのでしょう。論文中でも、女性の性感が「クリ逝き」から「中逝き」に成長するとしたフロイトの説を「傲慢な仮説」と切って捨てています。

 

メスマー美容術入門 でしばしば登場するフロイト先生は「中逝き」派なのです。

このヘレン・オコネル医師、結局「Gスポット」性感も、間接的にパンクリトリスを刺激しているのでは、という考えが行間からにじみ出ています。

文献(1)より。

まあ、たしかに、「Gスポット」とされる位置のすぐ、前には、クリトリスの脚バルブが位置しています。

誤解の無いように最後につけ加えておきますと、今回の論文はあくまで、「マクロな解剖学的所見からはありませんでした」ということのみを主張しており、その点に関してはそうなんだろうと思います。

今後、顕微鏡などを使った組織学的な解析から「Gスポット」相当の何かの違いが見いだされるかもしれず、そこまではヘレン・オコネル医師は否定しようとはしていません。

また、『クリションマンの野望:序章』『クリションマンの故郷』『暴れん坊クリションマン』『クリションマンの正体』の四部作で紹介したエマニュエル・ジャニーニ医師らの提案は、解剖学的にはGスポットはないのかもしれないが、機能的にはそういうのが見えるので、これを「陰核尿道膣複合体」(=CUVクリションマン)と呼びましょう、というものでした。

 

まだ解決されていない問題は、

(1)「Gスポット」刺激で膨らむ部分は何なの?どういう機構で膨らむの?

(2)「Gスポット」がらみのオーガズム、つまり『パンクリ中逝き』は横においておいて、オマンコのもっと奥の「Hスポットハルバン・スポットヴァニラスポット)」等々でのオーガズム、『ヴァニラ中逝き』あるいは『ポルチオ逝き』はどういう機構なの?

です。

 

まだまだ熱い戦いは続きます。

 

パンクリ戦士、Alli Sebastian Wolfのパフォーマンス。手に持つのは金色のクリトリス「Glitoris(グリトリス)」だそうです。

 (文献)

(1)  Hoag, N., Keast, J.R. & O'Connell, H.E. The "G-Spot" Is Not a Structure Evident on Macroscopic Anatomic Dissection of the Vaginal Wall. J Sex Med 14, 1524-1532 (2017).

(2) Ostrzenski, A. G-spot anatomy: a new discovery. J Sex Med 9, 1355-9 (2012). 

(3) Ostrzenski, A., Krajewski, P., Ganjei-Azar, P., Wasiutynski, A.J., Scheinberg, M.N., Tarka, S. & Fudalej, M. Verification of the anatomy and newly discovered histology of the G-spot complex. BJOG 121, 1333-9 (2014).

 

 

クリトリス解放ミュージカル。クリトリスへの偏見と闘う歴史も語られており、フロイトも出てきます。

Glitoris芸術家Alli Sebastian WolfのGlitorisソング。

Gスポットに関連した以下のコラムもお読みください。

 

『ジスイズ・オルガズム美容術』