「Gスポットは存在しないって?誰がそんな馬鹿なこと言ってるんだ」・・いえいえ、それが結構頭の良い人達がそう言ってたりしてて、ことがややこしくなっているようです。

 

 

 

Gスポット」でネットを検索すると、「その存在には議論がある」とか「Gスポットがついに科学的に解明された」とか、「Gスポット」があるのか、ないのかについての書き込みが結構たくさん出てきますよね。

ちょっと女性に慣れた男性なら「なにバカなこと言ってるんだよ。Gスポットなんて、ちょっと触れば、すぐ分かるだろ!」と思うかもしれません。

潮吹きまではいかないにしても、確かに膣の入り口付近に、性的に興奮するにつれて、ポコッとふくらんで来る場所がありますよね。全ての女性が膨らむというわけでもありませんが、何割かの女性は膨らむはずです。

「これがGスポットだろ。なんで無いなんて言っているヤツがいるんだ」と、なりますよね。

そうですよね。絶対ありますよね。

ところが、Gスポットがあるのか無いのかについての議論が、研究者のレベルでは延々と続いているも本当なんです。読みやすくするために、Gスポットがあるとする人達を「Gスポット信者」、ないとすると人達達を「無G論者」としておきましょう。

 

まず最初に、「Gスポット」の歴史を軽く勉強してみましょう。

Gスポット」という名前が世間に広まるきっかけとなったのは1982年に出版された「ザ・Gスポット」という一般書の人気によるところが多いといわれています。この本が出る1年前の1981年に、学会誌、すなわちエライ先生達が読む難しい論文雑誌に、「グレフェンベルグ・スポット」なる部位が膣の中に存在し、ここを刺激すると「より深い」オーガズムを感じ、オシッコとは異なる液体がオシッコの出口から噴き出すのだ、と報告されています。いわゆる「Gスポット刺激による潮吹き」ですよね。こんなんが論文になるんですね。

で、1981年の「ザ・Gスポット」というのは、このグレフェンベルグ・スポット」を「Gスポット」と略したわけで、ようするに、女性が感じるのは「クリトリスだけでなく、膣の中のGスポットでも感じるんだよ。もっと膣で感じましょう!」って感じのセックス指南書として爆発的に読まれたわけなんです。

 

グレフェンベルグ・スポット」の「グレフェンベルク」というのは19世紀生まれのドイツの婦人科医の「エルンスト・グレフェンベルグ」から来ています。この方、それなりに地位を確立された人のようで、歴史上のエライ医者としてもあちこちに出てきます。1982の論文は、グレフェンベルグが書いたわけではなく(1982年にはもう死んでいます)、グレフェンベルグに敬意を表して、彼の名前をつけたわけです。

 

1982年の論文を書いたGスポット信者」によると、Gスポットは、1950年にグレフェンベルグが彼の論文の中で最初に見つけた、といったことになっています。ところがですね、ややこしいのは、1950年のグレフェンベルグの論文には、Gスポットのことなんて書いてないんですよね。不感症の女性と尿道に異物を挿入してオナニーをする女性の症例が紹介されているだけなんです。この点も無G論者」の攻撃対象になっていて、「勝手に大先生の名前をつけるとはケシカラン」といった風になっているのです。

「明らかに存在するGスポットの存在を否定するとはケシカラン、どんなやからなんだ!」と思われるかもしれません。この無G論者」達、調べると正統派医学者達なのです。いわゆる「解剖学」や「病理学」に属する、お医者さんの中でも、古い歴史をもつ、超正統派の人達ですね。Gスポット信者」の方はというと、これは幅広い人達を含むので、単純化できないのですが、お医者さんではないセックスセラピストから、形成外科医や、生理学者までいろいろです。医学は解剖学と共に発展しましたので、「江戸時代から続く老舗日本料理屋 vs 新感覚のおしゃれな和食レストラン」といった感じのバトルなのでしょうか。お互いに拠って立つ土壌が異なるので、話がすれ違いのまま交わらないようです。

無G論者」の論法は単純です。「Gスポットがあるなら、それを見せろ」です。「オマンコの回りなんて、大昔から莫大な数の解剖がおこなわれているのに、誰一人としてそんなもの見たことがないぞ!」という訳です。解剖だけでなく、顕微鏡で病理学的にじっくり眺めても、それらしきものは何もない、ということらしいです。しかも「そんなに感じるところなら、クリトリスのように神経が集まっているハズなのに、膣の上の壁なんて神経がそんなにないんだ!」と追い打ちをかけます。

これに対して、Gスポット信者」は、膣の壁の膨らみを測ってみたり、女性にアンケートをとって「Gスポットで感じますか」なんていろいろやっているんですけど、無G論者」を納得させるだけの迫力のある研究がないようです。

お医者さんの中でも、解剖医とか病理医というのは、結構頭の回転が速い、ようするに頭の良い人が集まっています。この理論オタクみないな無G論者」に対抗しているGスポット信者」の論文が、正直言ってワキが甘いものが多いのも事実です。例えば、2012年にアメリカの美容整形外科医であるオスレンツキーが「Gスポットをついに発見」とかいった内容の論文を出しているのですが、読んでみると「幻のツチノコ大発見」的な、なんでこんなツめの甘い研究が学術雑誌に採択されるのかといったお粗末な内容。当然のごとく無G論者」にクソミソに叩かれています(ところが、論文っていうのは、一度出てしまうと科学的真実のように扱われるので、このオスレンツキー先生も、Gスポットの大家としてTVとかに出演しているようですが・・・)。その他にも、わきの甘いGスポット信者」の論文を、無G論者」の先生達が、気持ちよいほどロジカルにぶった切る論文がいくつか出ており、まさに「Gスポット大戦」の様相を呈しています。

で、原点に戻って「Gスポットって本当にあるの?」。ありますよね。全員でないにして、かなりの部分の女性は膣の上側の入り口付近を刺激すると、ぷくっと膨らみ、気持ちよさそうにしますよね。その中の、何割かの女性はさらに、潮吹きにつながりますよね。でも、解剖学的に、それに相当する組織や器官がないというのも本当なのでしょう。感覚神経も特に密になっていないのでしょうね。でも、性感スポットとしてはちゃんと存在するのが面白いところだと思います。

Gスポット」があるかないかは、偉い先生の間で議論が延々と続いているようですが、「Aスポットヴァニラスポット」に関しては、ほとんど議論・論文もなく、学会では無視されているようです。あるいは、これからどんどん研究が盛んになるのかな?いずれにせよ、SM美容ではGスポットよりも、むしろAスポットヴァニラスポット」を重視した美容法を開発していくことに変わりはありません。

 

 

『ジスイズ・オルガズム美容術』