『SM美容術入門』では、緊縛術を学びたい人のために、『SM美容術入門17-縄をマスターするには』『SM美容術入門18-縄の流派』などを書きましたが、催眠術に関しても同じように、でも軽く紹介しておきましょう。

 

緊縛術と催眠術で結構似ているところがあります。『SM美容術入門17-縄をマスターするには』では、緊縛を学習するには、(1)教則本を用いる、(2)教則DVDを用いる、(3)縄教室に参加する、の3つの方法があると紹介しましたが、催眠術も同じです。順に紹介しましょう。

 

教則本を用いて勉強する

一番お安い方法でしょう。アマゾンで「催眠術」でサーチすると、かなりの数のヒットがあります。催眠術のかけ方や、そのしくみに対する考察の書籍は、それこそ明治時代からかなりの数が出ています。どれが良いかは、目的や、作者との相性などもあり、一概には決められませんが、いくつか、このコラムを書いている時点で入手可能な教則本をご紹介しましょう。

林貞年の『催眠術のかけ方』『催眠誘導の極意』『催眠術の極め方』の3部作は、催眠の歴史、考えられる原理、催眠のいろいろなかけ方、が比較的バランス良く書かれていて、お値段もそれほど高くなく、入門書としてはよくできた本です。3冊も買うのはもったいない、という方は、『催眠術のかけ方』だけでも十分ですし、kindle版なら756円とさらにお安いです。

林貞年は、いわゆる『メスマー美容術入門09-催眠術師色々』で紹介したところの古典催眠の人です。

エリクソン流の催眠技法のハウツー本となると、概してとても高価です。臨床系の人が読む学術書、という感じになってくるので、部数も少なく、従って値段も高くなるのでしょう。イゴール レドチャウスキーという人の書いた、『催眠誘導ハンドブック―基礎から高等テクニックまで』という本は、比較的エリクソン流に近い(でも基本は古典催眠かもしれません)ハウツー本で、古典催眠の基礎を学んだ後に、現代催眠の方向に進む時にはよい本かもしれません。中古本なら1,000円代で買えるようです。ただし「エリクソン催眠を学ぶなら、古典催眠に手を出すな」という意見もあるようですので、何のために催眠術を学ぶのかをよく考えてから、入り口を決めるのがよいかもしれません。

ハウツー本ではなく、歴史、研究関連の本となると、桁違いに数が多くなるので紹介しません。ただし、ミルトン・エリクソン関係の書籍は高価なものばかりで、高いのにイマイチというのも少なからずありますので、お薦めを少し紹介しますと、『ミルトン・エリクソン心理療法: 〈レジリエンス〉を育てる』『ミルトン・エリクソン入門』が入り口としてはよいかと思います。硬派の本ですが(ハウツー本ではないのでご注意を)。

 

教則DVDを利用して学ぶ。

緊縛術と同じく、催眠術もハウツーDVDがたくさん出てています。

ただし、催眠術関係はやたら高いんです。

メスマー美容術入門09-催眠術師色々』でも出てきた「日本催眠術協会」が出している催眠講習会のDVDシリーズは、それぞれ1枚が5万円代。

日本催眠術協会理事の南裕もハウツービデオを出していますが、これも価格設定は5万円代。初期の作品は、アマゾンの中古市場で8万円代の値がついていたりしています。日本催眠術協会代表理事の苫米地英人は、自己開発、コーチング系のDVDシリーズをたくさん出していますが、その中にも催眠関連の作品がまじっています。こちらも10万円越えの値段ですので、めちゃ高い。

これぐらいの高価格設定をしても、売れるのでしょうね。この点は、緊縛の世界とはかなり違います。緊縛のハウツービデオは、高くても8,000円ぐらいでないと、誰も買わないのではないでしょうか。

ハウツー本のところで紹介した林貞年も、教則DVDを出しています。『映像で学ぶ催眠術講座 催眠術のかけ方』『瞬間催眠術 映像で学ぶ催眠術講座』『映像で学ぶプロフェッショナル催眠術 高等催眠術の技法』で、こちらは7,000円代〜12,000円代と、通常の価格帯です。

マジシャン系の催眠術師、十文字幻斎もハウツービデオを出しており(『催眠術レクチャー 初級、中級、上級、,応用編』)、こちらは2,000円代〜5,000円代とお得な価格帯です。

「オレはエロ催眠で彼女を性奴隷にするんだ〜」なんて妄想している人は、エロ催眠系の催眠術師のハウツービデオもあります。ラッキーなら、レンタルDVD店に並んでいるかもしれませんから、それなら100円でレンタル、なんて可能性も出てきますね。いくつか紹介すると、

などでしょうか。

あと、最近の特徴として、(緊縛技法もそうですが)、Youtubeなどに、結構勉強になる教材が転がっています。これらは無料ですので、よいものを見つけれれば、ラッキーです。

 

催眠教室に通う

教則本、教則DVD、それぞれ良さがありますが、なんといっても生でプロの技を見て、盗むのが、緊縛術、催眠術の上達の早道。

主だったプロの催眠術師は、催眠術教室、個人教授などをやっていますので、ネットで探し出して参加するのもひとつの手です。

ただし、ここでもやはり高い!!

緊縛の教室とかは、安いところなら何千円で何時間か学べますし、個人教授でも安いところなら時間1万円前後で可能だと思います。

ところが、催眠関係の教室は、とにかく高い。半日で何十万とかのもざらですし、個人教授もかなり高い価格設定。

これだけ高くても、学びたいという人がいるのが、催眠分野の特徴なのかな。

参加費の安い、催眠サロン的なものも、今後増えていくのではないかと思います。

また、お金がない人も、プロの人がやるショーとかを生で見ると、いろいろ学ぶことは多いと思います。その場合だと、うまくいくとタダですからね。TVでやった催眠ショーとか、結構Youtubeにアップされています。

 

誰のための催眠術か? 

これは『SM美容術入門19-誰のための縄か』で考えたことと同じなのですが、いったい「誰のために催眠術をかけるのか?」「何のためにかけるのか?」により、誰に学ぶか、どの流派を習うか、が異なってきます。

プロの催眠術師は、ステージ催眠なら、ショーを見に来ているお客さんのために、エロ催眠師なら、DVDを買ってくれる視聴者のために催眠をかけます。あなたがプロの催眠術師をめざすなら、ステージ催眠系の催眠術師に師事するのがベストです。

ショー催眠とか興味ないけど、AVのエロ催眠みたいなのやってみたいな、って場合。つまり、彼女相手に、「指鳴らしたら、子猫にな〜る。チンチン舐めたくてしかたないね〜」とか、「タイ〜ム、ストップ!」とかで動きをフリーズさせて、ブラジャー外したり・・・面白いかもしれませんが、きっとすぐに飽きますよ。催眠掛けて、性奴隷にして、性奉仕させるんだ、ってのもいいですけど、彼女が乗ってくれない限り、一方的な妄想で終わります。

「いや、私はそんな、悪い使い方はしません。真面目に、治療のために使います」てな人は、ちゃんと医学部や、臨床心理系の大学学部に入って、必要な技術を身につけましょう。Salon de SMのサイトなどを覗きに来てはいけません。

催眠術かけたり、かけられたりすることの一般的なメリットとしてサロンさんがあげておきたいのは、1つには「人の感覚・知覚ってのは、絶対的なものではないんだ。こんなに簡単に変換できるんだ」ってことを身をもって納得できること。

そして、もう1つには、催眠技法を学ぶことで、言語によらないコミュニケーション技法、相手からのシグナルをもれなく感じ取り、あらゆるチャンネルを使って相手とつながる技術を磨くことができ、といった点です。

この2番目の「コミュニケーション・ツールとしての催眠術」というのは、ミルトン・エリクソンが切り拓いた現代催眠そのものであり、『SM美容術入門22-縄で創る臨場空間』『SM美容術入門25-縄空間の制御者に』『SM美容術入門28-縄空間の深層』などと重なる部分なのです。この点について、今後、さらに深く掘り下げていきたいと思います。

 

 

 

 

 

催眠術で彼女を性奴隷にしようという輩は、洋の東西を問わずいます。それに乗じてお金儲けする人もね。

 

 

「催眠術通信講座」みたいなのの宣伝かな。

 

最新の催眠術の書籍やDVDはここかれら調べられます。

 

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連載『メスマー美容術入門』