メスマー美容術入門09-催眠術師色々

催眠術師を「ショー催眠術師系」「エロ催眠術師系」「自己開発系」「臨床系」に強引に分けて整理してみましょう。

 

 

 

『SM美容術入門』の特に緊縛に関する部分では、「SM美容術入門17-縄をマスターするには」「SM美容術入門18-縄の流派」「SM美容術入門21-縄を手に入れる」を含めたいくつかの記事で緊縛の学び方を紹介しました。

同じように「催眠術の習得の仕方」の紹介を少ししますが、ややためらう部分があります。

というのも、「縄遊び」はとても深くて楽しい世界なので、是非みなさんにもマスターして遊んでいただきたいのですが、「催眠術」ってのは、プレイとして独立に成り立つのか?ってのがサロンさんには、まだよく分かりません。

縄の場合でしたら、相手が縄好きなら、「ちょっとナワナワしましょうか」なんてお誘いして、二人して深い世界を楽しんで、スッキリって感じで遊べるのですが、同じように「催眠遊びしましょうか?」ってプレイが成り立つのかどうかよく分かりません。

SM美容術入門27-安心安全縄空間』で、縄の場合の縛り手と受け手の「空間支配力」の関係みたいなのを説明しましたが、サロンさん的には縛り手と受け手の力関係が対等に近いほど、深くて面白いプレイができると考えています。もちろん、これには、縛り手、受け手の好みが入って来るので、それが正解という訳ではありませんが、少なくとも「SがMを完全支配する」ってのは、妄想であることでこそ楽しめるものです。

 

 

そういった対等に近い力関係を好むサロンさんにとって、どうも催眠術遊びってのは、「完全な主従関係」に近いような気がして、どう楽しんでよいのか分からないところがあります。

「M女を催眠術で思い通りに奉仕させて、完全奴隷にできるじゃん」なんて喜んでいる人もいるかもしれませんが、それって、それでいいのですかね?

「じゃ、なんであんた、時々メスマー美容術、とか言って催眠術かけてんの!」ってお叱りを受けるかもしれませんが、催眠術の世界を知っておくと、縄遊びする時に、いろいろ腑に落ちることが多々あるんです。なので、縄遊びの腕を磨く上で、催眠術をマスターしておくというのは、悪くないと思います。

 

そもそも、世の中、どんな人が催眠術を使っているのでしょうか?今回は、催眠術を使う人々を大胆に4つに分けて解説していきましょう。

その4つの人々とは「ショー催眠術師系」「エロ催眠術師系」「自己開発系」「臨床系」です。

 

ショー催眠術師系

一般に人が催眠術や催眠術師にもつイメージってのは、TVに出てくるプロのショー催眠術師の影響が大きいですね。

「あなたは、3つ数えると、猫にな〜る」なんて感じで、自由自在に不思議な力で人を操る怪しい人、って感じ。

プロのショーマンですから、派手で見栄えのする催眠術に長けており、腕前も相当なものです。

この何年に絞り、TVにしばしば登場する催眠術師はというと、南裕、川上剛史、十文字幻斎、相川葵といったところでしょうか。

一般的には、ショー催眠術師は、舞台が始まる前に、受け手に予備催眠という催眠誘導をかけておき、舞台上ではあたかも、パチンと指を鳴らすだけで深い催眠状態に一発ではいるかのような細工をしています(特に隠しているわけではなく、しばしば舞台裏も説明していますけれどね)。

また、川上剛史や十文字幻斎といった催眠術師は、ガチ初対面の人に催眠をかけるのを悦びとしているようなところもあり、そういうショーは、それはそれで緊張感があります。時間内にかからないというリスクはありますけど、それだけに真剣です。

川上剛史とか、あるいは一般的にプロ催眠術師って、お笑いキャラにされてるところありますが、みなさんかなりの腕前もっているのでないでしょうか?プロとしてTVでお金を稼いでいる人は、やはりそれだけのものはあります。

 

エロ催眠術師系

「3つ数えると、貴女の目の前に美味しそうなキャンディーがあります。貴女は、欲しくて欲しくてたまりません。一度手にするとむしゃぶりついて誰にも渡したくありません。3,2,1ハイ!」で女性が一心不乱にチンポをしゃぶり出す、なんてのは、おそらくこの記事を読んでいる男性の多くの人が期待する催眠術のイメージかもしれません。

洋の東西を問わず、昔から現在まで多くのエロ催眠術師が存在し、催眠術の怪しさに貢献しているといえましょう。特に、エロAV文化のレベルの高い日本では、優れたエロ催眠術師を多く育て、多くの優れたエロAV作品が作られています。

コーヒーポット、RED、Dick末藤、MickyB、夕華などが名前や本人が作品に出てくるエロ催眠術師ですが、その他にもDVDに名前や顔が出てこない正体不明のエロ催眠術師はごまんといますし、AVのスタッフの方なんかでも催眠術を使える人もいるのではないかと思います。AVで催眠術を最初に取り入れたのが誰だか分かりませんが、しばしば名前の出てくる代々木忠さんとかが、おそらくかなり初期の監督ではないかなと思います。

エロ催眠を専門とするAVレーベルなどもあり、なかなか奥の深いのがエロ催眠の世界です。

エロ催眠の作品は非常にたくさんあるので、催眠の勉強にはよいかもしれませんね。ただし、女優さんも、かかってナンボの世界ですので、現実とのズレは、認識しておく必要があります(つまり、彼女にチンポがキャンディーになると催眠かけようとしても、ひっぱたかれて終わり、ということになるかもしれません)。

最近の特徴としては、ネット上にアマチュア、セミプロのエロ催眠術師がたくさん登場していることです。

 

自己開発系

 

 この「自己開発系の催眠術師」ってのは「催眠術師全体」から「ショー催眠術師」と「エロ催眠術師」と次の「臨床系」を差し引いた残り全部と考えてください。なので、雑多。「自己開発」という言葉にあてはまらないのも入れます。

例えば上で紹介したプロ催眠術師の南裕さんなんかは、催眠講習会を開いて、催眠術を用いてセラピーをしたり、あるいは自己催眠で各人の能力を開発しよう、なんて活動をしています。こちらは、舞台活動とはまた違う活動なので、この「自己開発系」に入れてしまいます。

南裕+川上剛史に吉田かずお、さらに大将の苫米地英人が加わって「日本催眠術協会」っていう財団法人を作っているのですが、この中の吉田かずおさんも、現在の力をいれている活動は自己催眠の教室のようですし、苫米地英人は有名な自己開発というのか、コーチングというのか、そういう分野の人です。

その他にも林貞年は、独自に数多くの催眠術入門の書籍やDVDを作り、またやはり催眠講習会やセラピスト養成のための講習会を開いているので、こちらのジャンルの催眠術師になるかと思います。催眠ショーをやっているわけではなく、AV製作にも関係していませんし、下記の臨床系からは「一緒にするな」と思われているでしょうから、消去法的にこのジャンルに入れています。

このジャンル、とにかく広いです。NLP、コーチング、前世療法、退行催眠、インナーチャイルド、ハイヤーセルフ等など、トランスに誘導に関わるのは、全部ここに入れます。瞑想・マインドフルネスなども入れると、とてつもなく広がっていきます。

やはりこの分野でも、ネット上を主な活動場所とするアマチュア、セミプロの自己開発系催眠術師が増えてきており、時代の流れかと思います。

また数多くの「ヒプノ」系のセラピストが、いろいろな催眠関連団体を主宰しています。「私は催眠術師ではない!セラピスト!一緒にしてくれるな!」と怒られるかもしれませんが、一応、このジャンルに入れさせてもらいます。

そもそも、自己開発系の多くの人達は、『メスマー美容術入門 』で言及されること自体不愉快だと想像します。「催眠術なんて使ってません。ヒプノセラピーです!」「私のは催眠でなくて、前世療法ね」って感じ。

 

臨床系

 

いわゆる治療のために催眠術を使う人です。『メスマー美容術入門 』 で紹介してきた歴史的な人々は、基本的には皆、治療のための催眠術を研究してきた人達です。

そもそも現在の日本の法律では「治療」をおこなえるのは、医師免許をもった人のみですので(歯科医師、看護師、はり師、きゅう師、あん摩師、柔道整復師など一部の国家資格所有者に特別に許可された治療もありますが)、催眠術を使った「治療」を受けるためには病院の医者に診てもらわなければなりません。医学部となると、フロイトの流れが強いので、「催眠術かけます」って感じで治療しているところがあるのかどうかわかりません。少なくとも保険収載されている治療に、催眠術を明示的に使うものなどないはずです(フロイト流の精神分析は保険点数ついていますが)。

欧州ではごく一部の国のごく一部の疾患に関して、確かに催眠術による医学的な治療が認可されているようですが、概して、現在では催眠術を使った治療は、おこなっているところを捜すのが難しいといった状態です。催眠術がインチキだとか、効果がないとかではなく、例えばミルトン・エリクソンが20世紀にやっていたような、丁寧な治療ってのは、現在の忙しい世の中の治療にはフィットしないんです。フロイトの精神分析も、20世紀には米国でブームになりましたが、これも現在では、心を病むたくさんの患者をこなすには時間がかかりすぎということで、下火です。今は、とにかく「はい、この薬飲んどいて」てのが主流です。

医学部でなく、心理学部(文学部、教育学部)の方に、いわゆる臨床心理学という分野があり、こちらも分野の人達の一部は、催眠にポジティヴな評価を与えているかもしれませんが、数は少ないでしょう。

ちなみに「臨床心理士」というのは、かなりしっかりとした資格だと思うのですが、残念ながら国家資格ではありません。「公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会」というところが発行している、分類的には民間の資格です。ただし、「公益財団法人」というのはかなりしっかりした団体ですので、資格としてはそれなりの権威のある資格です。といっても、上に述べたように、臨床心理士は医師ではないので「治療」は標榜できません。「心理療法」や「セラピー」をおこなう、という表現になります。「じゃあ『臨床系』でなくて、『自己開発系』に入れろよ」とお叱りを受けるかもしれませんが、ここでは、独断で臨床系に分類しておきます。

臨床心理をやっている人達にとって、医師免許に匹敵するような国家資格の設立は悲願だったと思うのですが、2015年に法律化された「公認心理士」というのは、医師の下請けみたいな位置づけで、なんだか残念です。国家資格の「公認心理士」と民間資格の「臨床心理士」の関係がが、今後どうなっているのか興味のあるところです。

 

古典催眠と現代催眠

最後に、「古典催眠」と「現代催眠」の違いを少し説明しておきましょう。

これも明確な定義があるわけでないので、人によって違うのでしょうが、「古典催眠」てのは、いわゆる普通の人がもっている催眠術のイメージに似たもの。

はい、私の親指の爪をジーと見つめて〜。見つめてると、だんだん瞼が重たくなってく〜る。もう目が開かない!

ほら、手がガチガチにくっついて、もう離れない!

3つ数えて目を覚ますと、あなたは可愛い猫ちゃんになってま〜す

って感じ。

比較的、威圧的、命令的に催眠術師が、被験者を催眠に誘導する方法で、メスマーから始まる長い歴史を持ちます。

TVに出てくる、ショー催眠術師は、基本的に古典催眠を用います。

被暗示性の高い、つまり、一見、あれこれ言った通りになってなってくれるような状態に、素早く入れられるので、ショーをする際には便利です。

ただし、催眠術師に対して、「こいつ、馬鹿とちゃうか」と心の底から思っていたり、何が何でも絶対に催眠になんかかかりたくない、という強い抵抗を持っている人達には、なかなかかかりにくいという短所があります。

なので、ショー催眠の時には、予め、深い催眠状態に入りやすい人を選んでおいたり、予備催眠といって、予め催眠をかけておくということがしばしばおこなわれます。ただし、「ショー催眠術師系」で述べたように、スクリーニングや予備催眠無しで、あえてガチ本番に挑戦するショー催眠術師もいます。

「現代催眠」の定義はさらにあいまいなのですが、フロイト以降の臨床心理系の研究を基に形成された催眠技法という感じでしょうか?

臨床催眠系では、ショーではなく、患者の治療が目標ですので、お尻が椅子から離れなくなったり、猫になったりする必要はありません。被暗示性を高めることが目的とはなりません。

また、患者によって催眠にかかったり、かからなかったりするのも困ったことです。『メスマー美容術入門05-催眠術終わる』 で紹介したように、フロイトは、催眠はかかる人と、かからない人がいるので、治療法としては使えない、ということで催眠術を放棄しました。

フロイトは、いわゆる古典催眠の時代の人ですので、古典催眠では、一定の時間内に、かかる人と、かからない人がいるのはいたしかたがないことです。

メスマー美容術入門06-カリスマ登場』『メスマー美容術入門07-トランス誘導』 で登場したミルトン・エリクソンは、現在催眠の成立に極めて重要な貢献をした人です。現在催眠=エリクソン催眠、と定義しても、文句をいう人はそれほど多くないかもしれません。

ミルトン・エリクソンは、どんな人にでも催眠状態に誘導できる技法を数多く生み出しました。基本的には、古典催眠のように、威圧的で、命令的な支持は一切出しません。極端な場合、エリクソンと患者が、一見すると、ごくごく普通の会話をしているだけで、患者がいつのまにかトランス状態に入ってしまいます。

ミルトン・エリクソンの大学などでの教育デモンストレーションなどの記録がたくさん残っているのですが、ここでは、「私は、エリクソン博士は怪しいと思っているし、今まで催眠にかかったことはないし、今日も絶対にかかりません!」というIQ高値の研究者が、ばたばたと、エリクソンに催眠をかけられる様子が記録されており、痛快です。

ミルトン・エリクソンの催眠技法は奥深く過ぎて、ここで短く説明することはできませんが、催眠の流れとしては、催眠状態の定義が拡張され、それに伴い、催眠誘導のテクニックが、幅広い分野で研究されるようになります。

臨床心理系のセラピーとなると、コテコテの古典催眠を使う人より、現代催眠を使う人の方がおおいのではないかと思います。

もちろん、古典催眠の使い手の人達も、現代催眠の手法を積極的に取り入れ、新古典催眠的なものへと進化させていますので、この人の使っているのは、「古典催眠」、あの人は「現代催眠」と、明確に分けるのは難しいのが現状です。

 

ちと、固い話になりましたね。

 

 

典型的な舞台催眠ショー。確かに面白ですよね。

 

 

英国のエロ催眠術師のYouTubeチャンネル。日本のエロ催眠とはまた違ったテイストがあり面白いです。

 

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連載『メスマー美容術入門』