サマタ(止行)とヴィパッサナー(観行)で二人だけの世界を作りましょう。
さて、『SM美容術入門28-縄空間の深層』では、「受け手に与える情報量を制限することで縄の臨場空間を膨らませる」ことができると説明しました。
すなわち、五感から入る情報量が少なくなると、頭の中では、不足した情報を補うために、脳ミソに蓄えられている過去の記憶などを動員して、頭の中での現実を再構成しようとします。簡単に言い換えるなら、想像力が強くなり、イメージ力が増した状態になります。
こういった状態になると、受け手と縛り手が、イメージ空間を共有しやすくなる、つまり心がコネクトした状態に誘導しやすくなります。
「情報量を少なくすればいいんだな。簡単簡単。」ってことで、急に無口になったり、声を小さくすれば良いというわけではありません。
そんな風にすると、受け手は「何?よく聞こえない。はっきり喋ってよ!」で終わってしまいます。
どうすればよいかいうと、受け手の「心を集中させ」させるのです。
受け手の心を、あなたに一点集中させる必要があります。
これはお釈迦さんが35才の時に達した、止観、涅槃、悟りの境地みたいなものだと考えてもらえばよいでしょう。
つまり、いろいろな雑念を捨てて集中することで、それまで見えなかった全てのものを見えてくる感覚が研ぎ澄まされてくるという境地。
サマタ(止行)とヴィパッサナー(観行)とか言われたりもしますが、ようするに「集中」と「感覚の鋭敏化」です。
禅行とか、ヨガなどの瞑想法では、この境地に「独力」で達して、しかも万物とつながろうとするのです。
これは、われわれにがおいそれと真似ができるわけではありません。
SM美容ではそこまで大それた目標はたてておりません。
とりあえず、受け手と縛り手の心が繋がることを目標とします。
そのためには、受け手も縛り手も、心を相手だけに集中させ、余分なシグナルが入ってこないようにします。
集中すれば、どんどん余分なシグナルは入ってこなくなります。
集中して読書している時に、誰かが声をかけても、気づかないのと同じですね。
そういった状態で、なんとか受け手と縛り手の心がコネクトするとあとは、それを壊さないように、どんどん深化させて、共有するイメージ空間を深めてきます。
ここらへんになってくると、いわゆるNLPやコーチングなどの手法と随分重なって来るわけですが、それはまた後々詳しく解説していきましょう。
とりあえずは、部屋を適度に暗くして、呼吸を合わせ、受け手が縄の感覚に集中できる状態でボンデージ美容術を開始しなければなりません。
いったん二人の心がコネクトすると、お互い感覚が鋭敏化され、縄を通じた気持ちのやりとりができるようになります。
次回は、SM美容のボンデージ美容術で用いている、いくつかの基本的な縛りについて解説していきましょう。
【Take-home message-51】受け手の意識を縛り手に集中させることで、心をコネクトするのが第一歩です。
微細で精緻なシグナルからイメージ空間を膨らましていくことができます。
瞑想というと、なんだか大変な修業が必要のような感じがしますが、ようするに意識を集中させること。歩きながら瞑想する方法もあります。
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