『動物磁気』なる怪しげな仮想エネルギーで病気を治していたメスマー先生は、「トンデモ学者」のレッテルを貼られてしまいましたが、まあしかし、『動物磁気』は否定されたものの、メスメリズムの治療でいろいろトラブルから解放され、恩恵を受けた人も少なくなかったのではないでしょうか。
フロイト大先生の精神分析学は、メスメリズムと違って、なんだか学問的で、「本物」のような感じがしますが、じゃ、今の世の中の精神療法、神経療法が全て、フロイト流精神分析を使っているかというと、そうではないです。逆に、フロイト流の精神分析をやっている精神科を捜すのが難しいかもしれません。
「そらそうだよ。フロイド説の未完成なところはアドラー大先生が完全なものにしたものね」
「何をおっしゃります、アドラーよりは、やっぱりユング大先生でしょう」
「いや、日本人には河合隼雄大先生でないとね」
「いえいえ、夢とか過去とか気にしても意味ないね。未来志向のエリクソン大先生を信じましょう。」
「いやいや、過去世まで戻らないとだめなんですよ。ワイス大先生が本物です。」
「いや、科学的に心霊手術しないと治りませんよ」
と、まあいろいろあって、われわれ素人にはどれが本物で、どれが偽者なのかが分からなくなります。
「箱庭療法」「遊戯療法」「音楽療法」「絵画療法」「風景構成法」「物語療法」「詩歌療法」「SM療法」・・・「食事療法」「睡眠療法」「排便療法」「呼吸療法」なんかもあるかもしれず、何だか、普通の生活していると、全て療法になるような感じが・・
サロンさんのお気に入りのエリクソン大先生の流れも、いろんな流派に分かれていて、それぞれ強調しているところが異なるので、随分と違うものにも見えます。
エリクソンの流れの1つに「ブリーフセラピー」というのがあって、ようするに「時間かけずに、さっさと治しちゃいましょう」ってものなのですが(「ブリーフセラピー」の中も、さらにMRIアプローチ、戦略的アプローチ、エリクソニアン・アプローチ、解決志向ブリーフセラピー、ミラノ派、ナラティブ・セラピー等々、と細かく分かれていきます)、その「ブリーフセラピー」流派の一人である森俊夫さんという方の書いた本の『ブリーフセラピーの極意』が、読みやすくて面白いです。
特に、森俊夫さんの手法が本物だとか優れているとか、ということではないのですが、肩の力を抜いたような雰囲気が良い感じの本で気に入りました。
で、この本の中に面白い引用があり、
「世界中にいくつの心理療法モデルがあるかを調べた学者がいて、民間療法的なものを入れると『10万を超えた』」たそうです。
「10万」ですよ。
ようするに、何でもいいんです。
結果良ければ何でもOK。
「何でもモデル〜」って感じですね。
「SM療法」も入れてチョ!
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