変わったことをして遊ぶには、それなりの慎重さと注意が必要です。リードする側は最終的に全責任を負うことを忘れないこと。

 

 

 

SM美容術入門25-縄空間の制御者に』では、パートナーと共有した臨場空間において、縛り手が「支配権」を握る、つまり「リード」することを説明しました。

 「支配力の強さ」「リードの程度」は51%から100%までいろいろです。

 ただし、たとえ51%の「ほぼ対等」の関係だったとしても、1%でも多い支配力をもった方が、セッション全体の最終的な全責任を負わなければなりません。

 つまり、縄空間の制御者になりたいならば、楽しいことだけでなく、可能性として起こりうるあらゆる事故に対する心がまえが必要となります。

 

事故って、あ、やっぱりSMは危険なんだ・・

はい。SMプレイは危険です。

可能性としての、いろいろな事故が考えられます。

でも、SM以外の刺激的なエッチ遊びでも、事故はつきもの。

少し変わったことを楽しもうとすると、必然的に普段とは違う注意が必要です。

今回は、安全にSMプレイを楽しみ心がけを少し書いておきましょう。

 

 

【Take-home message-48】責任のとれる範囲で遊びましょう。

 

 

 

SMで用いるいろいろな手法は、多くの場合、かなり強烈な空間支配能力をもっています。

エネマ美容術スパンキング美容術など、SM美容では、浅い表層的なプレイしかやりませんが、それでもかなり強烈に空間支配力があります。緊縛ももちろん。

なので、これらのSMプレイのテクニックをそこそこ身につけると、その気になれば比較的簡単に「100%に近い空間支配」ができるはずです。

つまり「完全なる主従関係」の確立。

パートナーを完全な奴隷として支配して、あなたのために奉仕させることができます。

 

「やった〜!それこそ夢見たSMの世界!」

と思っている人・・・いですか〜、最後まで責任取るんですよ。

空間支配力が強くなると、通常状態に戻るのに、その分時間がかかります。

弱い空間支配なら、セッションが終わると同時、あるいは一晩寝ると、通常の状態に戻り

あー、楽しかった。また縛られたいな。さ、仕事しよう!

 と気分を切り替えられます。

支配力が強くなると、後に残る時間も長くなります。

もちろん受け手の方にもよるでしょうが、日常生活までもがイメージ空間に侵蝕されてしまい、朝から夜までご主人様のことで頭の中がいっぱい、って感じになってしまいます。

それぞ、まさに夢見た主従関係!

と興奮するのは勝手ですが、ちゃんと最後まで責任とらないとだめですよ。

 

かつてこの道の先輩から、

「Sの方からMを切ってはいけない。関係が終わるのは常にMがSを捨てる時」

と言っていたのを思い出します。

強い主従関係を安易に築き、しかも「多頭飼いだ〜」とかで調子にのっていると、取り返しのつかないことになっちゃいますよ。

強い主従関係を好むとしても、自分が責任とれる能力(つまり、自分の器ね)を正確に認識し、どこまで支配力を強めても大丈夫かを決めてください。まあ、相当例外的な人でない限り、他人の日常生活までも支配できるだけの器はないと考えてよいでしょう。

 

【Take-home message-49】事故に関する知識を増やしておきましょう。

 

 幸いなことに、近年緊縛事故に関する意識が非常に高まっています。

 『SM美容術入門17-縄をマスターするには』で書きましたように、緊縛術を学ぶには、本を読むか、教則DVDを見るか、縄教室に通うかです。

 縄教室では、かならず最初に緊縛の危険性とその回避についての説明から始まるでしょうし、多くの教則本や、教則DVDにも、事故回避のためのいろいろな注意点が詳しく書いています。

そうそう、『SM美容術入門17-縄をマスターするには』を書いた後にも、いろいろ教則本や教則DVDが出ているので、紹介しておきましょう。

 これは『SM美容術入門17-縄をマスターするには』でも紹介したように、定番ともいえる教則本をいくつか出してきている有末剛さんの最近の教則本。最初には危険回避の注意がまとめられています。アマゾンからも購入できます。

 これは、青山夏樹さんという女流緊縛師の方が最近出された入門書。緊縛事故の回避に重点をおいた教則本で、これまでにないユニークな内容です。いまのところ入手ルートが限られており、やや手に入れにくい本ですが、探してみてください。青山夏樹さんは「NPO法人BDSMセーフティサポート協会」というのの代表もされているようで、緊縛事故を防ぐ活動に力を入れています。

 かなり昔から、緊縛事故と、それに関する認識の甘さを指摘され続けてきているゴールデンリターンズさんという方もいます。講習会や、SM雑誌に連載なども書かれているようですが、『体験的SM論とSM事故&緊縛事故などのトラブルについて』というブログでも、いろろな事故の事例を紹介しながら、対処法なども紹介しているので、読むとためになります。

  昔から緊縛の世界では、女性緊縛師の方の活躍も目立っているのですが、上の本に続いて、この本も女性緊縛師の芙羽忍さんという方が最近出した写真集+緊縛教則のような本。受け手を男性に絞って作っているのがユニークです。アマゾンからも購入できます。

 芙羽忍さんは一鬼のこさんの影響を受けた緊縛師。上の青山夏樹さんは、乱田舞の影響を受けた緊縛師。そして、乱田舞、一鬼のこは共に明智伝鬼に影響を受けた緊縛師、と脈々と緊縛の歴史が次の世代に受け継がれているのが、日本の緊縛文化のすごいところですね。

 

  若い世代の緊縛師で、いまノリノリなのが一鬼のこ。写真集もやつぎばやに出していますし、最近は「現代緊縛入門」と題した教則DVDの「初級編」と「中級編」を出しています。お弟子さんも多いので、一鬼のこスタイルの緊縛は、これからもどんどん人口が増えていくのかもしれませんね。

 

さて、なんだか「緊縛事故の回避については、各自本やDVDで勉強するように!」って感じで無責任ですね。

ちょっと、申し訳ないので、最後にサロンさん的「アブナイ縛り手の見分け方」をお教えしましょう。

あなたが受け手だったとして、お相手の方が、下の条件にあてはなる時は、要注意ですよ!

  • 緊縛プレイの時に「縄切断用はさみ」を近くにおいていない(縄がこんがらがった時は、迷いなくハサミで縄を切って受け手の安全を確保するのがルールです)。
  • 酒を飲んでいるのに縛ろうとする(問題外です。受け手もお酒は控えるように)
  • 「痛い!」と言ったのに「そうだろう。もっと痛くしてやると笑っている」(これはホントに嫌がっているのかどうか縛り手も分からないので、あらかじめ「セーフワード」を決めておきましょう)。
  • 縄のことばかり気にして私の事を見ていない(これはまあ、アブナイというわけではなく、まだ初心者で余裕がないのか、あるいは、単にあなたより、縄の方が好きなだけでしょう)。

 

また、最終的な責任は縛り手が100%とるとしても、受け手にも事故を回避するための努力が必要です。次のことは守りましょう。

  • おかしいと思ったら必ず口に出して言うこと(ご主人様に失礼だ。雰囲気をこわしたくない、なんて思っちゃダメ。ご主人様のこと思うなら、変だと思ったら、「痛い」とか、「縄の位置がずれてる」とか、「あんた下手だ」、とかすぐに明確に伝えましょう。もちろん、「ぬるい!もっときつく責めて!」ってのもありです)。
  • 自分のペースで楽しみましょう(ナニナニちゃんは、こんな吊りにも耐えてたから、私もがん張ろう!なんて変な向上心はもたずに、自分の好きなことだけを、自分のペースでお楽しみ下さい)。

 その他、いろいろ役に立つサイト(例えばこことか)あるので、やっぱり各自勉強しましょうね。

 

医学部の解剖学の授業のような図を使っての緊縛の安全確保の説明。特に上腕部は神経が浅いところを通っているので、神経麻痺の事故が起こりやすいのです。

チェコの番組なのでしょうか。何言ってるかよくわかりませんが、日本の神凪さんとかの写真が出てきてますね。最後の方で安全性について説明しているようにも見えます。

 

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連載『SM美容術入門』