『SM美容術入門シリーズ』第2回目は「セッション」としてのSM美容を考えてみましょう。
ミストレス系、つまり女王様系のSMでは、「SMプレイ」のことを「セッション」とよびます。
「さあ、セッションを始めましょうか、M男くん」てな感じ。
もともと欧米のSMプレイから輸入された言葉なのでしょう。欧米のSMシーンでは「セッション」はよく使われる表現だと思います。
われわれ日本人が「セッション」と聞くと、ジャズやロックの演奏を思い浮かべることが多いのではないでしょうか?
「セッション」そのもの語源は、ラテン語の「座ること」を意味する「sessionem」だそうで、14世紀にフランスで、会議など「定期的に集まって何かをする」ことの意味で「セッション」が使われ出したようです。
現在使われている英語の「セッション」には「公的委員会」「学期」「活動期間」「集会」「演奏」などの意味があるようで、ようするに複数の人が集まって何かするってことなんです。
音楽の「セッション」からイメージするのは、「演奏者が集まり、わいわい楽しくプレイをする」っていうシーンです。主体は「プレイヤー」ってとこがミソなんです。つまり、聴衆のために音楽家が演奏するという、一方通行的な行為よりは、演奏者間の相互作用に重きを置いた表現なのです(と、勝手にサロンさんが感じているだけですが)。しょっちゅう顔をあわしている訳ではないミュージシャンが何かの機会で集い、テンション高い状態でお互いに刺激しながら演奏するって感じです。
「ごちゃごちゃ関係のない話をして、何をいいたいんだ」とイライラされるかもしれませんが、ようするに言いたいことはSM美容などのSMプレイってのは、責め手と受け手のインタープレイがあって始めて面白くなるものなのです。
「責め手」は、「ご主人様」「女王様」「縛り手」「スパンカー」とかで、「受け手」は「M女」「奴隷」「縛られ手」「スパンキー」とか、ってのはいいですよね。SM美容の場合は、あれこれと美容術をする方が「責め手(別に責めている訳ではないですけど)」で、SM美容を受ける女性の方が「受け手」となります。
「え?SM美容を受けるには、私も何かしないといけないの?」
いえいえご心配ありません。何もしなくて結構です。ただ、気持ちよい時には、気持ち良いということを表現し(言葉でも体の動きでも)、そうではない時にはそうではないことを表現すれば良いのです。そんなの、意識しないでもそうなりますので、結局何も意識しないで、普段通りで結構です。
大切なのは、SM美容をおこなう側、つまりこれを読んで勉強しようとしている男性(女性でもいいのですが)側が、受け手が発信するメッセージを、高感度に,しかも正確に受け取り、そして、それに対して適切なリアクションを返していくことなのです。そのリアクションに対して、受け手の女性が新たな反応をしてくださるわけですから、それをまた受け取って返す・・・といった、「仕掛けて、受ける」といったやりとりが大切なのです。
まあ、こういうのは人と人のつきあいの基本でして、実にあたり前のことを言っているにすぎません。でも、しばしばSMプレイってのは、責め手が一方的にあれこれしかけて、受け手がありがたくそれを頂戴する、って一方的なプレイだと勘違いしている人がいますので、あえてくどくど説明しているのです。
SM美容やSMプレイの全体のコントロールは、やや「責め手」の方が主導権を握って進めていきますが、プレイ全体がどのように進むのか、どう深まっていくのかは、あくまで「責め手」と「受け手」の相互作用の中から生み出されていきます。
なので、今日のお勉強の最初のポイントは
【Take-home message-3】相手の女性の感じていることを共有し、それに反応する
って、ことです。
相手の女性(男性でもいいんですけど)からのメッセージを受け取り、それに反応することが大切なのです。
ようするに、「責め手」と「受け手」のコミュニケーションがあってこそ、SM美容、SMプレイが成立する、というわけです。
コミュニケーションといっても、言葉が中心のロジカルなやりとりでなく(もちろんそれも含まれますが)、表情、体の動き、声といった「情」「肉体」のコミニュケーションです。なかなか難しいかもしれませんが、まあ、そういう意識で何回かやってみれば、すぐコツは掴めるものです。
このようなコミュニケーションは、その場その場で生まれてくるものです。あらかじめ、その内容は分かりません。
ジャズのアドリブ、つまり即興演奏などのライブ録音を聴いていると、同じ曲、同じメンバー、同じ時期の録音でも、録音された日によって内容が随分違います。「即興演奏なんだからあたりまえでしょ」と思われるかもしれませんが、まあ、毎日演奏やっているわけですから、だいたいどんな「仕掛け」が来て、「どんな受け」を返すか、ってのはある程度パターン化されているものです。
なので、ぼんやり聴いていると、なんとなく毎日同じような即興演奏をしているようにも聞こえますが、ちゃんと聴くと、毎回毎回、スリリングな駆け引き・・ピアニストとドラマー、ドラマーとベーシストといった演奏家間のかけひきがあり、その日、その日によって、アドリブ演奏が、どちらの方向にどう展開しているかは、随分と違うものです。
緊張感を高めるためには、前もっての暗黙のルールを一切決めないで、完全にその時勝負の「何をやってもよい」といったフリーセッションもあります。ただし、これは緊張感高過ぎで、やる方も大変ですし、失速して失敗する可能性もあります。
SMプレイも同じ。自由度が高まると緊張感は増しますが、分散してまとまりがなくなる可能性も高くなります。
なので、あらかじめ、ある程度のプランを立てておくべきです。でも、ガチガチにプランを立てて、その通りに進行しようとすると、先に述べた受け手とのコミュニケーションができなくなってしまいます。『SM美容術入門1-アイテムいろいろ』で説明したように、受け手が興味のあるアイテムを前もって調べ、それをだいたい、どういう順番でやっていくかを決めておく程度が一番よいのでは、と思います。
繰り返しますが、受け手の反応に対応し、柔軟にプレイ内容を変えて行くってのが、とても大切なところです。
ようするに、全体のプランは立てておいた方がよいのですが、あくまでも「緩いプラン」にしておき、柔軟性をもたせるのがポイントです。
【Take-home message-4】全体のプランは立てておくべきだが、「緩い」プランにしておくのが肝要
なんだか第2回目の『SM美容術入門』は観念的なお話しになってしまいました。
「こんなんじゃ、具体的にどうしてよいのか全然分かんないや」、と思われるかもしれませんが、まあ、会が進む毎に分かっていただけると思います。
しばらくは、よく分からないままで結構ですので、読み進めて下さい。次回もお楽しみに。
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