19世紀には医療器具として使われていた振動子。最近、アメリカでも再び治療器具としてのバイブの利用が広がっているそうです。大きさが気になりますか?
連休明けでもありますし『SM美容術入門シリーズ』は1回お休み。
といいますか、いつも話題の提供には事欠かない「THE JOURNAL OF SEXUAL MEDICINE」が、コンスタントにオモシロ論文をだしてくれているので、忘れないうちに紹介しておかないとね。
というわけで、今日は今年の3月に出た論文(1)を紹介。
タイトルは「Vibrators and Other Sex Toys are Commonly Recommended to Patients, But Does Size Matter? Dimensions of Commonly Sold Products」です。
和訳すると「バイブなどの大人のオモチャは一般的に患者に使用を推奨されているが、サイズは気にしなくていいのか?一般的な市販オモチャのサイズ調査」てな感じでしょうか?
インディアナ大学のグループからの論文です。インディアナ大学といえば『チンコの長さ』で紹介した、チンチン測定の論文を出した大学です。測定が好きなんですね!
タイトルが疑問文ってのはちょっと変わっていますが、ありえない話ではありません。「バイブの使用が推奨されている」って言い切るのがすごい。
イントロダクションに書いてることから面白いのを拾いますと「2008年の米国内での調査では、調査した18才から60才までの男女の53%がバイブレーターを使ったことがある」そうで、「32.3%の女性はディルドを使ったことある」そうです。
『ディルド』って分かりますか?「張り型」といいますか、ようするに「チンポのオモチャ」で動かないヤツです。
バイブはVibrator(バイブレーター、ヴァイブレーター)の略で、Vibrate、つまり振動するもの。「勝手に動く」オモチャです。SM美容では「振動子」と呼んでいます。
なので、動かないオモチャは「バイブ」と呼んではいけないんです。でも、われわれ日本人は英語使いでありませんから、時々動かないのもバイブなんて言ってますね。
これに対して『ディルド』の方は、特に動いても動かなくても『ディルド』みたいですから、より広い使い方ができるみたいですね。でも、一般的には、「動かなく」て「リアルなチンポの形をしてい」ものを『ディルド』と呼ぶことが多いと思います。かつ、「挿入」前提です。なので、クリにあてる「ローター」は「バイブ」のカテゴリーに入りますが、「ディルド」ではありません。
『ディルド(Dildo)』の語源はよく分かってないらしいですけど、ボートのオールを固定するチンポ型のクイのことを『ディルド』と呼んでいたことがあるらしく、そこから由来したとか(そのクイ使ってボートの上で誰かオナニーしてたんですかね)、イタリア語で「悦び」を表す「diletto(ディレット)」に由来するとか、あるいはサンドイッチの付け合わせに時々使われる「ディルピックルズ」(これは実際、このディル風味の小型キュウリでオナニーをしていたらしいです。小さいので、アナル用なのかな?でかいのもあるのかな?)など、諸説あるようです。
で話を戻して、「このような商品は次第に一般化されてきている」そうで、「男女ともにバイブの使用に抵抗がなくなってきている」、ということだそうです。
「医療現場でもバイブの使用を薦めることがある」そうで、「快感を得るため」や「性器の痛みの治療」などに使われるそうです。
サロンさんの気まぐれコラムを昔からお読みの方は、『振動子美容術の原点』を思い出されるかもしれません。19世紀末のヴィクトリア時代に「振動子」(バイブレーター)を用いた医療が広まり、20世紀の初頭まで続いていたのでしたよね。この論文ではこのような古い歴史は無視していますが。
ちなみに、アメリカでも、明示的にオマンコの挿入する性具とわかった状態でバイブ(ディルド)を販売することは最近まで禁止されていたようです。日本では今も、この昔のアメリカと同じで、決してオマンコに入れる道具としてバイブは売られてなく、「ジョーク商品」「マッサージ器」として売られており、それをどう使うかは消費者のかって、というわけです。アメリカは、マンコを気持ち良くする道具として売られているという訳でしょうかね(また時間のある時に、じっくり調べてみます)。
ということで、最近のアメリカでどんどんど利用が広がるバイブやディルドだけれども「サイズは気にしなくていいのか?」てのが、この研究での問題設定です。
はい、『チンコの長さ』でも書きました、チンポの大きさはいつの時代でも気になるテーマ。
「あー、ちょっとバイブでもネットで買って、使って見るといいですよ」と医者さん。
「センセー、どれぐらいの大きさのバイブを買えば良いのでしょか?」
と質問された時のために、役に立つかもしれない研究なのです。
研究方法は、webでアダルトグッズを売っている8つのサイト、具体的にはAdam and Eve、Amazon、Babeland、Early to Bed、Good Vibrations、MyPleasure、Pure Romance、Tantusから「オマンコ挿入型」と「アナル挿入型」のバイブを選び、それぞれ25本の太さや長さを調べたんですって。
購入して測定したのかと思ったのですが、web上の情報を調べただけみたい。研究として詰めが甘いですね。ちゃんと実物を同一の方法で測定しなくては。さらに、その使用感なども試験してみるべきだったです。予算がなかったのかな。
気になる結果です。
「オマンコ挿入型バイブ」では8つのサイトのうち6つのサイトで売られているものは、「長さが6インチ以下」で「外周が4.5インチ以下」だったんですって。
国際標準はメートル法なので、国際論文にインチなんか使っちゃだめですよ。「長さが15センチ以下」で「外周が11センチ以下」です。外周も分かりにくいので、「太さ3.6センチ」となります。
『チンコの長さ』で紹介した実チンポの平均長が14センチで、太さが3.9センチでしたので、「実チンポよりちょい長めで、やや細め」のバイブということになります。
で、「Amazon」と「Tantus」ではもっと大きなバイブやディルドを売っているという記述もあります。
なるほど。
「センセー、あたし大きいのがいいのですが」
て言われたときに
「なら、AmazonやTantusで捜すといいよ。最近の学術論文で勉強したんだ」
てな具合に役にたつのか。
アナルバイブやディルともやはり AmazonやTantusでは大きいのが売っているんですって!
ほんとだ。日本のAmazonでもいっぱいエッチなオモチャ売ってるや。
『男夢太鼓』2.626円で、全長27センチ×最大径5.2センチだって!
最近は流線型が美しく、触感もシリコン製で優しい格好いいバイブもいろいろ出ていますね。
これなら友達に見つかっても、何に使うのか分からないかも。
こういうのは、どうやって大きさ測定するのかな〜
まあしかし、どうでもいい研究だな〜
アンアンや週刊ポストでも、もうちょっと気の利いた研究するだろうに。
文献
(1) Herbenick, D., Barnhart, K.J., Beavers, K. & Benge, S. Vibrators and other sex toys are commonly recommended to patients, but does size matter? Dimensions of commonly sold products. J Sex Med 12, 641-5 (2015).