心も体も「熱くなって来る〜」ってのは、たいへん良いことでございます。はい。

 

 

 

 

 

またまた「The Journal of Sexual Medicine」というまじめな性科学の雑誌から、ちょっと面白い論文をピックアップ。今回は、同誌2014年5月12日の電子速報版から「How Hot Is He? A Psychophysiological and Psychosocial Examination of the Arousal Patterns of Sexually Functional and Dysfunctional Men」っていう論文をご紹介しましょう。カナダの名門大学であるマギル大学心理学部からの論文です。

何が面白いのかというと、この論文のタイトル。「How Hot Is He? A Psychophysiological and Psychosocial Examination of the Arousal Patterns of Sexually Functional and Dysfunctional Men」です。いきなり「How Hot Is He?」つまり「彼はどれぐらいお熱いの?」なんて、およそ科学論文らしからぬタイトルで始まってますね。こんなのいいのかな?続いて「性的に正常な男性と不能男性の示す発情パターンの精神生理学的、心理社会学的検証」と内容の説明があります。

何を研究している論文かといいますと、「ED」つまり勃起しない男性と、「HSDD」、こちらは聞き慣れませんが、hypoactive sexual desire disorderの略で「性的欲求低下障害」と診断された男性の間での興奮時の体の変化を調べようという研究です。HSDDという状況は、性的欲求そのものがない男性。「チンポ立てないのに立たない」ではなく「別にチンポも立てたくないや」っていう状態。どんなにエロチックな場面に装具しても、どんなに彼女が誘っても、「別に、いいや〜」って無関心なことで、最近話題になっている「草食系男子」も、一歩このHSDDに踏み込んだ状態なのでしょうか・・・

やってることは簡単。EDの男性とHSDDの男性を集めてきて、エッチな動画を見せて、「主観的に興奮したか?」という質問をすると同時に、客観的に体が反応しているかを調べます。

この「客観的に体が反応しているか」のところは、チンポの温度を測定するのですって。ここがちょっと興味をひく部分です。

看護師さんが温度計をチンポにあてて測定するのかな、なんて想像してしまいますが、実際にはサーモグラムっていう、あの国際線空港の入国審査附近にある、カメラで温度を測定するやつ。あれでチンポの温度上昇を測定するそうです。

科学写真図書館より。

 

というわけで18歳から50歳までの71名の男性が集められ、そのうち19人は正常な男性。残りはEDかHSDD、あるいは両方を訴える患者さんということで、実験開始。男性はゴーグル型の動画鑑賞メガネを装着。

まずは、実験に参加した男性に、エッチではない15分のDVD(風景イメージ)を見せて心をなごませます。

続いて、エッチな動画に。相互愛撫シーン5分、69シーンが5分、膣にチンコ挿入場面5分からなるそうです(笑)。

最後にもう一度風動画を15分見て実験終了。3本の動画を見た後に、その時の気分をいろいろ書いたりして、参加費75カナダドルをもらって終了。

さて、どんな結果が出たと思います。

「主観的な興奮」は予想簡単ですよね。

正常、EDの人は主観的にエッチな動画で興奮しますが、HSDDの男性は興味ないので興奮したとは答えないと予想されます。

実際の結果もそうなりました。

では、チンポの温度はどう思います?

性に興味のないHSDDの男性はチンポは熱くならないと思いますかか?EDの人は立たないので、熱くならないと思いますか?

そもそも興奮するとチンポはどれくらい熱くなると思います?

この論文で得られた範囲では、正常の男性で、エッチ動画を見ることで、風景画を見ている時に比べて、最大でチンポの温度が「2℃」ぐらい上昇しています。

体温を気にする人なら、平熱が36.5℃の人が38.5℃に上がる感じですので、結構上がりますよね。しかも15分以内という短い間に上昇します。

陰茎海綿体に血液がどくどくと流入してきて、それで温度が上がるのでしょうかね。

で、気になるEDとHSDDの男性の体温上昇ですが、結局はみんなそれなりに上がっていました。

なんだ、って感じ。

でも、上がり方には差があるようでEDの男性はせいぜい1℃ぐらい。HSDDの男性は心は反応しないものの、体はちゃんと反応しているのが興味深いですね。

 

この論文は男性を対象としていますが、女性の場合も同じでしょう。

クリトリス海綿体でできており、興奮すると血液でパンパンになり勃起します(鳥は菱形の庭に降りる・・など参照)。

下の絵をみると、温度も上昇するようですね。

科学写真図書館より。

 

カーママッサージ美容術で、よくみなさん「熱くなってきた〜」って声を漏らされますが、陰核クリームの作用で血液量が増えて、実際に熱くなっているのでしょうね。

機会があったらサーモグラムで確認してみたいです。

 

 

『ジスイズ・オルガズム美容術』