メスマー美容術入門26-夢か幻か

 ホンモノはおそらくあるのでしょうが、われわれが知ることができるのはあくまでイメージに過ぎません。

 

 

 

「ホンモノ」「真実」「実在」とか、多分あるのでしょうが、でも、わたしたちがそれを直接見たり、知ったりすることはできません。

机の上にバナナがおいてあったとします。目で見ると明らかにバナナで、ほんのりとバナナの香りがしており、手で触ると、ヒンヤリとしたバナナの皮の触感。

皮を剥いて食べるとバナナの味。

机の上においてあるのはバナナであって、実際にバナナが存在するのは、疑いようがありません。

 

でも、見たり、嗅いだり、触ったり、味わったりするのは全てわれわれの五感を通しての感覚処理。

いろいろな情報を総合的に判断して、われわれの心が、確かにバナナがある、と判断しているにすぎません。

例えば、眠くな〜る、の催眠術をちょっとかければ、

 

あらま不思議。机の上にはなぜかチンポが。

確かにチンポの匂いがするし、触って見ると、硬柔らかいあの感触。

皮を剥いて先っぽを舐めてみると、確かにチンポの味が。

なぜかわかりませんが、確かに机の上にはチンポが、チンポだけで存在しています。不思議ですけど、本当にあります。

 

「それは、催眠術でだまして、そう思いこませているだけでしょ!」

と思われるでしょうが、基本的に、全ての認識は、そう思い込んでいるだけ。

 

催眠状態は極端な例なので、別の例で考えると、

 

 

この手の絵は、よく目にすると思いますが、「これ、な〜んだ」と訊くと、おそらくこのサイトを見ている人のほとんんどは、「女の子の絵が、横になったのと、縦のとです」と答えるでしょう。

ごく稀に「海賊の怖い顔の縦と、横向き」と答える人もいるかもしれません。あるいは「上が海賊の顔で、下が女の子の顔」と答える人もいるかもしれません。

 

「え?!どうやったら海賊に見えるの!えー」って、10分ぐらいあれこれ考えて、見えてくる人もいれば、見えてこない人もいます。

ゲシュタルト心理学なんかの教科書によく出てくる絵ですが、見方によってAにも見えるし、Bにも見える絵を用いて、われわれの認識が、いかに前後の文脈や、いろいろな記憶の枠組みに影響されるかを体験する実験。

例えば、この絵を見せる前に、海賊の話をずっとしており、海賊の写真なんかを何枚か見せたりして、それからこの絵を見せると、「海賊の怖い顔の縦と、横向き」と答える人の割合も増えるでしょう。

われわれが五感だけでなく、その他の記憶やそういったものを使って、モノを認識しているのがよく分かります。

 

 

お能の面なんかもまさにこれで、上の写真だけ見ると、人によって怒った顔、笑った顔、能面?、とかいろいろ感じるでしょうが、これを能楽師がかぶって、演ずると、見事に怒った顔、笑った顔、泣いた顔、と状況に応じて変化していきます。

これも人によって、「そんなの、催眠にかかったみたいな状態になっているだけで、お面は変化していないよ!」と言い張るかもしれませんが、これはまとを得た指摘です。

「お面は変わっていない」のでしょうが、われわれが知ることができるのは、イメージとしての感情をもった面だけなのですが。なので、われわれは、結局、イメージの世界に生きているのであって、本当のものがあるのかどうかは、知りようがないのです。

 

ゲシュタルト心理学で出てくる絵は、「錯覚を起こす絵」ともして取り扱われることがありますが、この「錯覚」というのも、われわれの認識が、いかにわれわれの感覚器官・認識システムの枠内でしか認識できないかを教えてくれます。

いろいろ不思議な「錯覚」を起こす絵などがネットにたくさんありますが、面白そうなのを紹介しますと・・・

 

 

中心にあらわれるアルファベットをかなり真剣にじっと見つめて追って下さい。動画が終わった頃に部屋の中を眺めると、部屋がぐにゃぐにゃにになっているのが分かります。

かなり強烈な幻視なので、運転中や仕事中には絶対見ないようにね。船酔いみたいに、しばらくなってしまうかもです。

 

 

これも同じ系統の錯覚動画なのですが、3分5秒から始まる例が、ちょっと凄いですよ。

白黒反転の女性の鼻のところの、赤い点を真剣に凝視しててみてください。集中してマジメにね。

すると、やがて、カラーの美しい女性が、ぱっと現れ、徐々に消えていきます。

「見えたよ、それが、何?」

ってなった人は、今度はあまり真剣には見ないで、動画を早送りなどして、その見えたカラーの女性を探して見て下さい。

動画の中には実はどこにもありません。

そう、あれは幽霊だったのです。

 

手塚治虫の『ブッダ』という長編作品は、ココロの勉強をするのには、とてもタメになる作品です。是非読んで下さい。

読み通すと、釈迦が到達した、今風でいるなら「マインドフルネス」みたいな境地がどのようなものかが良くわかります。

また、最初の方に、宗教がもつある一面・・すなわち、人の認識能力を操ることで、衆人を操つろうとする姿がうまく描かれています。

それはそれで、手法としては、良い方に使えば悪くはないのです。でも、宗教の本質ではありません。不思議な事が起こるのは、不思議ですが、ただそれは、それだけのことです。そこらへんは町田宗鳳の『〈狂い〉と信仰―狂わなければ救われない』なんか読むと、面白いかもしれません。

まずいのは、そういう力を悪い方に使おうとする人がいることです。

 

催眠術もSMもイメージの操作技術ですので、良い方に使うと楽しく、われわれを幸せにしてくれます。ですけでど、悪い方向に使おうとする人もいるのも事実です。それはダメです。地獄に落ちますよ。

 

 

 

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