「ほどほど」というのは、どんな場面でもなかなか感じがつかみにくいもの。縄の練習は「ほどほど」に抑えて「本番」を積んで腕を磨きましょう。

 

 

 

催眠術の教則本には

「ちょっと催眠をかける練習をさせてちょうだい」と知り合いに頼んで練習しても、絶対にかかりません。

てなことを書いています。

絶対にかからないかどうかは、よくわかりませんが・・・・しかし、これはおそらく正しい忠告だと思います。

お互いの関係性が鍵を握る催眠術では、「練習で」と宣言してしまうと、相手は催眠をかける側と深い関係性を確立しようとはしません。したがって、かかりません。

では、どのようにして催眠術の練習をするかというと・・ようするに練習はできません。

常に本番。練習なしで、ガチ真剣勝負を積み重ねて腕を磨いていきます。

相手無しで、エア催眠術で、喋りなどの練習することもできますが、練習効果は限定的です。

滑舌が悪くても、本番を優先的におこなった方が上達が早いです。

ようするに「練習する暇があったら、本番やれ!」って感じです。

 

緊縛も同じで、

ちょっと、縛りの練習させて

では、相手は入ってきません。

椅子を使ったり、瓶を使ったりで縛り方、結び方の練習をすることも悪くはありませんが、それよりもチャンスがあるなら、まずガチ本番です。

 

 

大山倍達も山籠もりとかで練習いっぱいしましたが、それ以上に実践を積んで強くなりました(と思います)。

 

本番って何?セックスできたら成功ってこと?

 ちゃいます。

プロをめざす場合なら、観客を沸かせるパフォーマンスができたとか、鑑賞者をうならせる写真が撮れたとかになりますが、アマチュアの場合には『SM美容術入門19-誰のための縄か』にも書きましたように、お客さんはいません。あなたとパートナーのふたり。

なので、パートナーと思う存分お互いに楽しめるかどうかで成否が決まります。

SM美容における「(緊縛の)本番」とは、『SM美容術入門24-縄で心をコネクト』に書いているような、受け手と縛り手が心をコネクトした縄あそびです。

 

お客さんがいないので、派手なパフォーマンスも、見た目綺麗な縛り方も必要ありません。パートナーが深く感じてくれればそれだけで十分。

なので、「鉄砲縛りがちゃんとできるようになったら、ナニナニちゃんに『僕に縛らせて』って申し込もう〜」なんて考えなくて、まずは実践。

SM美容術入門30-基本4縛り』の簡単なしばりで十分。手首縛りだけでナニナニちゃんと楽しませてみましょう。

というか、それもなくてはじめは、タオルで手首しばるだけでも十分かもしれません。

いや、道具なしでも十分SM遊びはできます。

 

何の道具なしでもSMプレイができなければウソです。

 

繰り返しますが、いつまでたっても縛り方の練習ばかりしていて、いっこうに本番をしないなんてダメです。

そういう人を時々目にするので、そういう人のための助言なのです。

練習よりは、まずは本番。

パートナーが入ろうとしているのに、スタートしてから

あ、ちょととまって。箱結びが失敗。もとい。もう一回最初からやってイイ?」なんて、サイテーです。

 

 と、「練習よりは本番」という大前提を頭に入れて、次の話題に進みましょう。

じゃ、ほんと、両手首縛り、後手縛り、両足首縛り、太腿縛り、だけでいいですね!

はい。そうなんですけどね・・・

でも、余裕ができたら、いろいろ知っていた方が、プレイに奥行きが幅が出てきます。

やっぱりそうだ。では、蜘蛛の巣縛りの練習に励もう!

と、再び練習だけの世界に戻られても困ります。

雪村春樹とか、晩年は簡単な縛りしか使いませんでしたが、使わないにしても、いろいろな複雑な縛りのテクニックは、過去の蓄積でしっかりと身につけています。

このような土台があるから、そういうテクニックが、例え見えなくても、プレイに安定性や奥行きが生まれます。

なので、実践を積みながらも、同時に基本的な練習を、うまい按配でやりながら、土台を広げる必要があります。

どれだけ自由な時間があるかにも依存するので、「うまい按配」が難しいところです。

基本的には「実践」で鍛えましょう。

実践で時間がいっぱいいっぱいなら、なんとか工夫して、実践最中に、1割程度、気づかれないように新しい技の練習を入れるのがよいかもしれません。

細かな、結び方の練習とかは、通勤・通学途中の電車の中や、お風呂の湯船の中でもできると思います。

 

くれぐれも、練習だけで一生を終わらないようにね。

 

 

【Take-home message-56】練習はほどほどにね。でも練習もしないと幅が広がらないのが難しいところ。

  

緊縛における「結び」はなかなか奥が深いものがあり、基本的な結びは体で覚えておく必要があります。

 

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連載『SM美容術入門』