ボンデージ美容術』では「貴女のための縄」を心がけましょう。

 

 

 

SM美容術入門シリーズは、いよいよボンデージ美容術のやり方、つまり縄の使い方の解説に入っているのですが、1回目の「SM美容術入門17-縄をマスターするには」では、「本や動画や教室で勉強しましょう」ってことを説明し、「SM美容術入門18-縄の流派」では、「いろいろ流派あるけど、どれでもいいですよ。ボンデージ美容術では、そんな難しい縛りもしないし」ってことを説明してきました。

これって、あまりにも内容なさ過ぎですね(笑)。

「いろいろ縄の使い方勉強する手段がたくさんあるから、どれか適当な方法で学べばOKよ〜」

ってことで、こんな内容なら、わざわざ改めて言われることもないです。

やっぱりSM美容なんて、怪しいことこの上ない」なんて、思い始めたでしょう?

ええ、怪しんです。

でも、我慢して読んでいるとちょっとは新しい知識も得られるかもですよ。

 

さて、「SM美容術入門18-縄の流派」では、いろいろな流派の縄のテクニックが「それぞれある閉じた系の中で確立され」できたことを少し述べましたよね。

例えば、『耳学問3:シンプル縄の奥深さ』で登場した濡木痴夢男さんの場合。

この人、もともとSM小説などを投稿していたマニアで、そのうちSM雑誌の編集者となり、その中で、SM雑誌のグラビアのための緊縛を自分でもやるようになり、1980年代ぐらいの「SM雑誌大ブーム」時代は、ほとんど1人でいろいろなSM雑誌のグラビア緊縛を担当していた人です。

なので、やや乱暴にカテゴライズしてしまうと、SM雑誌のための緊縛テクニックを確立しました。

つまり、いかにSM雑誌の読者の心に響く緊縛をおこなうか、で至適化されたテクニックとも言えます。

 

 

次に、明智伝鬼さん。

縛り=濡木痴夢男と思われていた時代に、突如(でもないんでしょうが)現れた凄い緊縛師。

やはりこの人もマニア出身で、雑誌ではなく、舞台でのパフォーマーとして活躍した人なんです。

 

雑誌もショーも、縛ったら同じじゃん

と思うかもしれませんが、全然違うんです。

写真撮影の場合は、スタジオで、カメラマン、照明、縛りのアシスタントなどのたくさんのスタッフに囲まれて、ポーズを決め、

「はい撮りますよ」「はい、みんなで解いて、次のポーズ」

って感じで進む場合が多いです。

舞台でのSMジョーの場合は、舞台上は基本的に緊縛師とモデルさんの2人ですし、決められた時間の中で、縛りから、解くまでをひとつの流れとしてスムーズに見せる必要があります。

雑誌の二次元静止画で勝負する濡木さんの場合と、舞台のライブでやり直しなしで勝負する明智さんでは、求められる技術がかなり異なってくるのが、分かりますよね。

決してどちらが優れているとか、難しいとか言ってるわけではないですよ。メディアが異なれば、求められる技術もことなることを分かってください。

 

3人目に紹介したのが雪村春樹さん。

この人は出発点はAV監督なんです。

舞台とやや似ているかもしれませんが、編集という作業が入るので、やはり違います。

雪村さんの場合、最初の頃はSM系のAV作品と作る時、縛り係さんがモデルさんをきれいに縛り、代わりに男優さんが入ってきて自分が縛ったことにして、「はい、スタート」って感じで撮影するわけですが、どうもモデルさんの気持ちが切れてしまう、ってことで「ほな、自分で撮影しながら縛ったれ」ということで、自らが縛り係兼男優となった人です。

AVに「ハメ撮り」ってジャンルがありますが、「ハメ縛り」って感じですかね。

 

濡木痴夢男、明智伝鬼、雪村春樹が、それぞれ縛りの神様みたいな、特別な存在であることに異論を唱える人はそれほどいないと思いますが、この3人が、それぞれ「雑誌」「ショー」「AV」という、異なるメディアでそれぞれのスタイルを確立してきたいってのは、面白いです(「濡木だってビデオたくさん作っているし、明智や雪村も写真集たくさんだしてるぞ」、なんて突っ込みはなしにしてね)。

もちろん、この3人のスタイルが、「雑誌」「ショー」「AV」という媒体に最適化することだけで完成されたものではなく、そこには、3人の強い個性が入っているのも事実。

濡木も明智も「責め縄」って呼ばれて、かなり受け手をがんがん責める縛りですが、受け手との距離感というか、立ち位置みたいなのが全然異なるので、全く違った責め縄になってるんです。いやほんと、縄って、奥深いんです。

濡木痴夢男さんの影響を強く受けた緊縛師といえば、奈加あきらさんや麻来雅人さんがあげられます。明智伝鬼さんの影響を受けた人は非常にたくさんいて、神凪さん、一鬼のこさん、その他多くの現在バリバリ活躍中の緊縛師の方は、何らかの形で明智伝鬼の影響を受けています。雪村春樹さんの場合は、ドイツ人の長田スティーブさんを通じて、海外に広くその技法が伝わっているのが特徴。

でも、あくまで影響であって、それぞれの緊縛師は、濡木痴夢男、明智伝鬼、雪村春樹などのスタイルを取り入れながらも、自分独自のスタイルに進化させています。

そこはそれゃ、プロですものね。濡木痴夢男の完全コピーやってても、プロとしては評価されないです。

そう、プロなんです。

ここが、今日のお話のポイント。

 

 プロとアマの違いって、いろいろありますが、ひとつはプロは、常に鑑賞者を意識していること。

SM雑誌に載せる緊縛写真なら、読者が、これは凄いと感動してくれる作品を載せないといけませんし、ショーを見に来てくださったお客さんには、また見たいな、って思うようなパフォーマンスを提供しなければいけません。DVDも、次の作品も買いたいな、と思わせるような内容にしないといけません。プロである限り、商品的な価値を常に考えていないといけないですものね。

 

ですので、プロの緊縛師が確立した緊縛技法には、どうしても、縛り手と受け手に加えて、鑑賞者である3番目の人(達)の存在を意識して編み出した部分も多々あります。

鑑賞者が観て美しいとか、心に響くとか、チンポ勃っちゃう、とかそういうのをとても大切にするのがプロの技法です。

もちろん、鑑賞者だけに意識が行ってしまい、受け手とのコミュニケーションがとれなくては、もともこもありません。プロの緊縛師は、受け手とも深い情感を交換しながら、かつ、鑑賞者にも感動を与えるという点で、「さすがプロ」というわけなのです。

プロの教える緊縛技法の中で、「いかに第三者にアピールするか」といった部分は、それらの技法が受け手にとっても心に響く場合も多くあるでしょうが、逆に、受け手にいとってもどうでもよいことも多くあります。

 

何が一番言いたいのかといいますと、夫婦や恋人同志で楽しむSM美容の場合、あくまで「相手のために縛る」のであって、決して誰かに見てもらうために縛るわけではないということです。パートナーとコミュニケーションを取ることのみに専念して、縄を使うことが大切です。

 

次回のコラムでも、この大切なポイントを、もう少し掘り下げてみましょう。

【Take-home message-37】パートナーのためだけに縛る事が大切。

 

濡木痴夢男の影響を大きく受けた奈加あきら。

 

明智伝鬼の影響を大きく受けた神凪のパフォーマンス。

 

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